熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

デジタルコンバージェンスが切り開く新しい生活・・・シャープ町田勝彦会長

2007年10月02日 | 政治・経済・社会
   「見える、感じる、デジタルコンバージェンス最前線」と銘打ったテーマで、CEATEC 2007 が幕張メッセで開幕した。
   MITメディアラボのN・ネグロポンテ所長が言ったと言う『デジタル技術や通信技術の発展によって、放送・通信・出版など異なるメディアが一つに統合される、「メディアの集束」』が、急速に進展し、我々を取り巻く生活環境が完全に変わってしまった。
   これを受けて、シャープの町田会長が、デジタルコンバージェンスが切り開く新しい生活、それに伴う地球環境問題、今後の課題などについて基調講演を行った。

   デジタルコンバージェンスについては、一般的な話に終始して、特に新鮮味がある訳ではなかったが、興味深かったのは、町田会長の異分野の知や経験などの遭遇が如何に大切かと言うことをコンバージェンスに託して語っていた事である。

   シャープでは、古くから、緊急開発プロジェクト制度(緊プロ)が制度化されていて、全社横断的な緊急開発プロジェクトが生じた時には、社長直属で各部門から最優秀の人間を集めて対処する。
   いわば、製品開発における技術のコンバージェンスで、組織の垣根を取り外して技術の融合を図る。
   この緊プロで生まれ出たのがAQUOS携帯で、ワンセグ試聴に適した液晶の開発には、通信・AV・液晶技術者の連携が、そして、モバイル環境でTVを見るためのサイクロイドスタイルの開発には、デザイナー・機構技術者などの連携が必要となり、異分野の技術者達の知の結晶で生まれたものだと言う。
   製品そのものが、これまでのカテゴライゼーションでは対処できないコンバージェンス製品ともなれば、益々、緊プロ対応の異業種、異分野の知識・技術の融合と集積が必須となるのである。

   堺新工場は、第10世代の巨大なマザーガラス(57Vが8枚取れる5畳分の大きさ)を製造する最新工場だが、これに付随し関連するインフラ整備や部材・装置メーカーの工場も誘致して、亀山をはるかに上回る垂直統合型の21世紀のコンビナートを作り出すと言う。
   更に、TFT液晶と薄幕太陽電池とは同じ薄幕技術にしており、材料やユーティリティを共有化できるので一石二鳥、生産性の更なるアップを狙う。
   一社だけでは何も出来ない時代になった、異業種のコンバージェンス、コラボレーションが必須だと町田会長は言う。

   町田会長のもう一つの指摘は、「多能工」たれ。
   専門知識だけのI型技術者ではダメで、専門分野を極めた上で、他の広い知識とスキルを持ったT型人間であれと言うのである。
   この点については、私自身このブログでも触れているが、T型では不足で、π(パイ)型人間、すなわち、ダブルメイジャーであるべきで、それも出来たら法経乃至経営の文科系と理工系の両方の資格を取るべきだと思っている。
   即戦力となるのは、工学専攻でMBAだと思うが、逆に、MBAでMOTの勉強をすることも有用であろう。何れにしろ、個人としては、理工系と文科系のダブルメイジャーに育成することだと思う。

   もっとも、2分野の専門を持つと言うのは経営者等のビジネスマンの場合で、研究者や専門技術者の場合にはどうなのかは分からないが、先日中鉢社長の話を書いた時に、ご自身は鉱山学専攻でありながらフェライトを勉強してメタルテープを開発し、博士はテーマが変わった時に真価が問われると言っておられるので、やはり、理工系でもその中で異分野の知識があった方が良いのであろうと思う。

   しかし、何れにしろ、個人の力では限界があるので、会社の組織上、出来るだけ異分野の社員が遭遇する機会なり職場環境を造りだすことが大切だと思っている。
   そして、異業種企業との遭遇、コラボレーションの機会を作り出すことであろう。
   あらゆる機会を利用して、メディチ・インパクトを引き起こすことでる。

   
   
コメント
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