熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

ブルーレイとHD DVDとの熾烈な戦い

2007年10月05日 | イノベーションと経営
   今回のCEATECは、HDを主体としたコンバージェンスがテーマだが、愈々、製品が投入され始めたBD(ブルーレイ)とHD DVDの主導権争いが熾烈を極め始め、結局、VHSとベータの時のように市場で決着をつけなければならなくなってしまった。
   今日、CEATECのセミナー会場では、午前中一番にHD DVD陣営が、午後一番遅くにBD陣営が夫々プロパガンダを繰り広げた。
   HD DVD陣営は日本メーカーでは東芝だけだが、マイクロソフトが加わっており、それに、先駆けて廉価な機器を発売して先行した所為もあってか欧米ではリードしているが、BD陣営は、福田さんのケースのように日本のメーカーが殆どサポートしているので、勝ったも同然と言った雰囲気。
   とにかく、消費者は良い面の皮だが、私は、最近、韓国業者が発表したように、両方に対応出来るハイブリッドのレコーダー等の機器が出来て決着すると思っている。

   東芝が言っているように、全世界200社が加盟するオープンな標準規格化団体DVDフォーラムが制定して統一したのであるから、特にずば抜けて質が高い革新的なイノベーションではない限り、不必要な負担を経済社会にかけずに、これまでの方式を踏襲してイノベーションを進めるのが本来だと思う。
   HD DVDシステムなら、これまでの製造システムがそのまま活用でき複製もし易く、それに、同じHD DVD機器で、これまでの古いスタンダードのDVDの再生機と互換性が利くなど、消費者にとっては有り難い。
   ビデオカメラで撮ったフィルムやテープの8ミリを、そして、VHSやベータのビデオ録画をデジタルにダビングした苦労を多くの人が持っていると思うが、DBを持てば、これまでのDVD機器をそのまま維持しなければならないことになってしまって同じ苦労が残る。

   ところで、BDとHD DVDの差だが、ハイビジョン放送の録画を目的として開発されたBDに対し、高画質パッケジソフトの再生を主目的に開発されたHD DVDとの差が縮まって来て、今では、容量の違いと物理的な記録層の違い、それに、セキュリティ対応の多少の差だと言う。
   大容量で高画質、高音質は勿論、デジタル技術を活用すればいくらでも活用範囲は拡大して、大げさに言えば無限の可能性があるのだから、どちらが良いかと言うフォーマット競争など低次元の話になってしまっている。
   どうせ、HDオーディオ・ビジュアル機器はスマイルカーブの真ん中で、すぐにコモデティ化してしまって、熾烈な過当競争だけに終わって利益に貢献しなくなるのは火を見るより明らかになる。
   BRIC’sあたりのメーカーがローエンド・イノベーションで、HD市場に参入して来るか、あるいは、HD技術をおお化けするようなノウハウで活用したソフト指向の会社に利をさらわれてしまうか、そんな可能性も高い。

   HD対応TV受像機も、プラズマ、液晶、有機EL、キヤノンのSED等技術は多様だが、ある意味ではイノベーションの帆船効果で、鎬を削って戦いながら、結局は、アッターバックの説く如く、ドミナント・デザインに集束して行くのであろう。
   BDとHD DVD戦争も、互換性の利く便利で安いハイブリッド機器が普及すれば、両システムの並存はあるであろうが、何れは、ドミナント・デザインに落ち着くであろうが、新しい破壊的イノベーションが生まれてくれば面白いと思っている。

(追記)写真は、ビクターのハイビジョンの4倍の精度のある4Kシステムカメラ。
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