熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

バラ色の携帯電話の未来、グローバル・スタンダードからの乖離

2007年10月04日 | 経営・ビジネス
   有楽町のビッグカメラの入り口で、ロッキーの最終巻のDVD販売キャンペーンをしていたが、こっちの方は店員が声を枯らしても客は一人も興味を示さず、
   同時に巨人軍優勝記念セールを盛り立てるため、優勝当日の東京ドーム球場でのヤクルトとの戦いのDVD録画を大型の薄型TVで放映しており、こちらの方は沢山の人だかり。
   やはり、巨人が優勝しないと日本は元気にならないのかも知れないと思いながら、しばらく見ていた。
   ところで、巨人優勝で、あっちこっちで、特別記念セールをやっているようだが、サブプライム問題もあるので、消費アップで経済効果をあげてもらいたい。
   何れにしろ、録画は、ブルーレイかHD DVDかは知らないが、シャープの素晴らしい画像を見ていると、昔、街頭で人が群れて見ていたカラー初期の画像を思い出して今昔の感に打たれた。

   ところで、シルベスター・スタローンが一声を風靡したロッキーだが、もう何十年も前の映画だし、世代も代わっており、うず高く詰まれたDVDが売れるのかどうか気になった。
   最初の映画には、舞台がフィラデルフィア美術館の前のアプローチで、まっすぐに虹状に彩色された綺麗な道路の上を、ボクサーのスタローンが走っている姿が映っていたのを見て、懐かしかったのを覚えているが、何度見ても殆ど記憶は残っていない。

   ビッグカメラの一階は、駅から東京フォーラムに抜ける時に、見物を兼ねて突き抜けるのだが、入り口には、携帯電話コーナーがあって何時も賑わっている。
   この建物は、以前は、そごう百貨店の店舗だったが、潰れる直前は閑古鳥が鳴いていて実に哀れだった。オープン当時は、フランク永井が「有楽町で逢いましょう」と歌ったくらいで、大変な人気スポットだったが、ビッグカメラで人気だけは取り戻した。

   この携帯電話であるが、今日、CEATECで、ドコモとKDDIの副社長が立って、素晴らしい携帯電話の未来をぶち上げる基調講演を行っていた。
   私は、携帯を使わない天然記念物のような人間なので、語る資格はないが、要するに、今の携帯は、電話機能以外に、パソコン、ゲーム、音楽プレイヤー、カメラ、felica様のクレジットカード等々便利な機能を満載した複合機で、ユビキタス、ウイキノミクス、フラット社会の典型的な文明の利器と言うことであろう。
   一番近い印象は、動くパソコンと言った感じである。
   二人の講演を聞いていて、パソコン会社やその関連会社、コンシューマー・エレクトロニクス会社などの社長が言っているのと全く同じことを語り、同じ方向に研究開発も含めて事業展開しているような気がした。

   ところが、この携帯電話が、今まで、電話会社が奨励金をメーカーに払っていて、ユーザーに安く提供していたのを、奨励金を止めるので高くなるらしい。
   1円とかロハと言うのは論外としても、2万円のものが6万円になるのはどうであろうか。
   本来、コモディティであって安くないと意味のない機械なのだが、あれだけ複雑な機能を持ち、コンピューターチップの塊のようなPC以上の性能を持つ製品なのだから安い筈がない。
   と言って、何時までも、普及のために機器の価格を安くして、逆に、電話料金を高くしてコストを回収すると言う日本的な方法は、グローバルには通用しない筈である。
   しかし、日本メーカーが製造コストに見合った価格で売り出せば、サムソンを筆頭とした外国メーカーに完全にやられてしまう心配がある。何しろ、日本メーカーの世界的シェアは異常に低くて競争にならない。

   日本メーカーの弱点は、ドコモのスタンダードがどうと言う前に、日本国内市場が大きくて恵まれすぎていて、ノキアやサムソンのように自国市場が小さくて最初から海外市場を相手に戦略を打たざるを得ないメーカーとでは、グローバル市場での戦いの決着はとっくについている。その国内市場で、多くのメーカーが寡占状態で乱戦模様であるから、技術は進化するが利益基調にはならない。
   まして、先進国は飽和状態で、今後の需要がBRIC'sを筆頭に発展途上国だと言うから、安くて簡素なローエンド型のイノベーション製品を要求されるのであるから、技術水準で進みすぎた日本メーカーのターゲット市場になり難い。
   1億台にも普及して行き渡ってしまった日本での競争は、市場の食い合い以外になく、価格が上がればどうして日本企業は生き延びて行くのか。熾烈な業界再編成など暗い未来が待っているが、何時までたっても、グローバル戦略を打って経営できない日本企業の悲劇は続く。
      
   日本が一番グローバル化に遅れているとドラッカーがいみじくも言ったが、どのメーカーも日本市場第一で製品を開発製造していて、真っ先に、グローバル市場を相手に戦略を打つべきを怠っていることが問題なのである。
   巨大な日本市場が、多くの日本製造業のグローバル市場では足枷になっている現実から早く脱却する必要があると言うことである。
コメント
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