熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

バッハのエールで黙祷~都響定期公演

2011年04月15日 | クラシック音楽・オペラ
   今夜、東京文化会館での都響定期公演の開幕に、指揮者のモーシュ・アツモンが東日本大震災への追悼の言葉を述べて、照明を落とした会場に、静かに荘重なバッハのエールが奏されて、全員起立して黙祷を捧げた。
   演奏会の後、アツモンが楽団員とともに、募金箱を持って立つとのことだったが、私自身は、開場前に済ませたので、失礼して、何時ものように、演奏が終わるとすぐに立って会場を出たので、その様子は分からない。
   開演前には、ロビーで、楽団員たちが一列に並んで、募金箱を持って、聴衆に対していたが、中々、荘重な(?)雰囲気で身が引き締まる思いであった。

   随分前になるが、スマトラ沖大地震の時には、大晦日の「ベートーヴェンは凄い!」演奏会で、指揮の岩城浩之が、同じように、聴衆に寄付を呼び掛けていたのを思い出した。
   岩城浩之が逝って随分経つような気がするのだが、スマトラの大惨事は、何故か、ごく直近のような気がするのが不思議である。

   当夜のプログラムは、竹澤恭子のヴァイオリンで、エルガーの「ヴァイオリン協奏曲 ロ短調」、そして、ブラームスの「交響曲第2番 ニ長調」であった。
   竹澤恭子も初めてで、このエルガーの曲も初めてだったが、クライスラーがエルガーに依頼したとのことで、とにかく、演奏時間が50分と言う協奏曲としては大曲で、豪快でありながら非常に繊細な美音を響かせた竹澤の冴え切ったテクニックは抜群で、聞きなれてお馴染みのブラームスの第2番よりも、この曲の方に感激して聴いていた。
   ブラームスの方は、田園交響曲と呼ばれるくらいで、非常に自然描写の際立った穏やかで心和む美しい曲なので、聴いているだけで幸せを感じるのだが、クララ・シューマンを思い続けていたブラームス故に作曲できた交響曲だったのではないかと思いながら楽しませて貰った。

   大震災後の自粛ムードが、少しずつ緩んできたようだが、多くの外国人が日本を脱出して、観光客も半減したと言う悲しい状態なので、日本人の誇りを胸に頑張って、出来るだけ早く、東北の被災地にも、明るくて元気な音楽が流れるようになることを祈りたいと思う。
コメント
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