経済書で専門家の間で最も評価の高いのが、この本。
原題は、「THIS TIME IS DIFFERENT」、すなわち、「今回は違う」と言うことだが、これまでの800年間の世界中の金融危機を調べてみたら、皆、同じ道を辿っており、「これはいつか来た道」なのに、そのことを忘れてしまって、金融危機の度毎に、人類は、「今回は違う」病に翻弄され続けて来たと言う話である。
膨大なデータを集めて、一つ一つ丹念に検証して理論構築を行っていて感動的でさえある。
いつか来た道とは、「巨額の債務に依存する経済はきわめて脆い。知らないうちに断崖絶壁を背にして座っているようなもので、偶然が重なって信頼が失われると、あっと言う間に谷底に転落する。」と言うことだが、「今回は違う」シンドロームのために、「金融危機はいつかどこかで誰かに起きるものだが、今ここで自分の身には降りかかって来ない、何故なら、前よりもうまくやれる、われわれは賢くなった、われわれは過去の誤りから学んだ、現在のブームは、健全なファンダメンタルズやイノベーションや賢明な政策に支えられているのだから昔のルールは当て嵌まらない」と言った強固な思い込みに負けて、同じような金融危機に見舞われ続けていると言うのである。
この口絵の表紙の帯に大書されているように、「バブルとその崩壊、銀行危機、通貨危機、インフレを経由して、対外債務・対内債務のデフォルトに至って金融危機が引き起こされると言う800年の金融の歴史が、「債務が膨れ上がった国は、悲劇に向かっている」と言う厳粛なる事実を立証していると言うことである。
日本の金融危機については、世界の五大危機の一つとして検証しているので、随所で日本の金融危機が説かれているが、日本語版への序文で、多少詳しく説明されている。
日本は、戦後に奇跡的な経済成長を遂げた点や、先進国において最も長いリセッションを経験した点などで特別な国ではあるが、
日本の「失われた10年」の全体像は、本書でも示すように、金融危機前後の年に多くの国が経験したこととさして違わない。民間の借り入れの大幅増と資産価格の急上昇に続いてマクロ経済の破綻と政府債務の急拡大が起きるのは、どれも極めて典型的な症状である。と述べている。
ところで、現在の日本の国家債務についてだが、「債務の許容限界」と言うところで、先進国であっても、債務の定義にもよるが日本のように170%近くに達していれば、問題が多いと考えられる(日本の外貨準備は極めて潤沢だが、その点を考慮するにしても、純債務がGDP比94%というのはやはりひどく高い)P.61と述べている。
しかし、この本を、そのまま素直に読めば、日本の異常な国家債務の悪化が、日本を危機的な状態に追い込みつつあることは、誰でも分かることである。
かって、国会議員の読む本が如何に貧弱かを近くの本屋さんが語っていた記事を見て、このブログで私見を書いたことがあるが、詰まらぬ政争でうつつをぬかしている暇があれば、この本を国費で買ってでも強制して読むべきであろう。
ジャック・アタリも、日本の国家債務危機によるデフォルトが、もう数年で来ると言っている。
日本国債は、大半を日本人が保有していると言っても、今や、50兆円以上は外人が保有しており、誰かが狼狽して、或いは某国が国家戦略として、ほんの数兆円投げ売りすれば、大暴落筆致で、日本経済がパニック状態に陥る。
日本の貿易収支が赤字になったが、一時的だと言う一般的な見方だが、日本の誇りであり雄であるソニーやパナソニックが、何年もテレビ事業が赤字で今期数千億円の赤字決算だと言う事実を見れば、貿易立国と言われた日本の経済産業構造が大きく地滑りを始めたことがはっきりと見えて来ている。
日本の次の経済危機は、絶対に食い止めるべきだと思っているが、もし起これば、日本の経済社会を根幹から覆してしまう。
日本人全体の太平天国に酔いしれたような危機意識の欠如が寂しい。
原題は、「THIS TIME IS DIFFERENT」、すなわち、「今回は違う」と言うことだが、これまでの800年間の世界中の金融危機を調べてみたら、皆、同じ道を辿っており、「これはいつか来た道」なのに、そのことを忘れてしまって、金融危機の度毎に、人類は、「今回は違う」病に翻弄され続けて来たと言う話である。
膨大なデータを集めて、一つ一つ丹念に検証して理論構築を行っていて感動的でさえある。
いつか来た道とは、「巨額の債務に依存する経済はきわめて脆い。知らないうちに断崖絶壁を背にして座っているようなもので、偶然が重なって信頼が失われると、あっと言う間に谷底に転落する。」と言うことだが、「今回は違う」シンドロームのために、「金融危機はいつかどこかで誰かに起きるものだが、今ここで自分の身には降りかかって来ない、何故なら、前よりもうまくやれる、われわれは賢くなった、われわれは過去の誤りから学んだ、現在のブームは、健全なファンダメンタルズやイノベーションや賢明な政策に支えられているのだから昔のルールは当て嵌まらない」と言った強固な思い込みに負けて、同じような金融危機に見舞われ続けていると言うのである。
この口絵の表紙の帯に大書されているように、「バブルとその崩壊、銀行危機、通貨危機、インフレを経由して、対外債務・対内債務のデフォルトに至って金融危機が引き起こされると言う800年の金融の歴史が、「債務が膨れ上がった国は、悲劇に向かっている」と言う厳粛なる事実を立証していると言うことである。
日本の金融危機については、世界の五大危機の一つとして検証しているので、随所で日本の金融危機が説かれているが、日本語版への序文で、多少詳しく説明されている。
日本は、戦後に奇跡的な経済成長を遂げた点や、先進国において最も長いリセッションを経験した点などで特別な国ではあるが、
日本の「失われた10年」の全体像は、本書でも示すように、金融危機前後の年に多くの国が経験したこととさして違わない。民間の借り入れの大幅増と資産価格の急上昇に続いてマクロ経済の破綻と政府債務の急拡大が起きるのは、どれも極めて典型的な症状である。と述べている。
ところで、現在の日本の国家債務についてだが、「債務の許容限界」と言うところで、先進国であっても、債務の定義にもよるが日本のように170%近くに達していれば、問題が多いと考えられる(日本の外貨準備は極めて潤沢だが、その点を考慮するにしても、純債務がGDP比94%というのはやはりひどく高い)P.61と述べている。
しかし、この本を、そのまま素直に読めば、日本の異常な国家債務の悪化が、日本を危機的な状態に追い込みつつあることは、誰でも分かることである。
かって、国会議員の読む本が如何に貧弱かを近くの本屋さんが語っていた記事を見て、このブログで私見を書いたことがあるが、詰まらぬ政争でうつつをぬかしている暇があれば、この本を国費で買ってでも強制して読むべきであろう。
ジャック・アタリも、日本の国家債務危機によるデフォルトが、もう数年で来ると言っている。
日本国債は、大半を日本人が保有していると言っても、今や、50兆円以上は外人が保有しており、誰かが狼狽して、或いは某国が国家戦略として、ほんの数兆円投げ売りすれば、大暴落筆致で、日本経済がパニック状態に陥る。
日本の貿易収支が赤字になったが、一時的だと言う一般的な見方だが、日本の誇りであり雄であるソニーやパナソニックが、何年もテレビ事業が赤字で今期数千億円の赤字決算だと言う事実を見れば、貿易立国と言われた日本の経済産業構造が大きく地滑りを始めたことがはっきりと見えて来ている。
日本の次の経済危機は、絶対に食い止めるべきだと思っているが、もし起これば、日本の経済社会を根幹から覆してしまう。
日本人全体の太平天国に酔いしれたような危機意識の欠如が寂しい。