国立劇場に併設されている「伝統芸能情報館」では、定期的に順繰りに古典芸能関係の展示が行われていて愉しませてくれる。
今回は、5月末まで、「文楽入門」。
この口絵のように、人形の衣装や頭から、大夫の見台や座椅子、主遣いの舞台下駄、三味線等々、文楽関係の色々なものが展示されていて、見ていて面白い。
大阪の国立文楽劇場の展示場は、文楽専用劇場なので、このような文楽関係の展示ばかりなのだが、東京の国立劇場は、展示室のある国立演芸場以外は、皆、この展示場で行われる。
早稲田大学には、常設の 「演劇博物館」があって、中村歌右衛門など歌舞伎関係の資料などが展示されていて興味深い。
さて、本質的な問題ではないのだが、人形の衣装については、豪華なものを見ていないので、何とも言えないが、錦で織り上げられている能や狂言、歌舞伎の衣装に比べて、少し、貧相な感じがする。
主遣いの人形遣いが、人形に自ら衣装を縫い付けると言うのであるから、稼働性が重要なのであろう。
また、人形の頭も、小さい所為もあろうが、能面と比べれば、やはり、精巧さにおいても芸術性においても、多少見劣りするような気がしている。
例えば、好みの問題かも知れないのだが、典型的な若い女性の小面など、目を見張るような美しさに圧倒されることがあるのだが、文楽の場合の娘は、普通の美女と言った感じで一般受けする表情である。
三味線の制作過程もそうだが、頭の制作過程が展示されていて面白い。



日本の文楽が、世界に冠たる最高の地位を確立しているのは、やはり、三人遣いの精巧さと素晴らしさであろう。
会場では、三人遣いの様子を写真で説明されていた。
また、最も驚くべきは、人形の頭の表情を自由に変える胴串に仕組まれた精巧な子ザル(チョイ)であろうが、見ているだけでは、どのように、眉毛や口が動くのか良く分からない。
顔の表情で演技をする歌舞伎役者と、全く変化せずに顔の位置関係だけで表情を現す能・狂言の中間が、文楽人形の頭なのであろうが、異国の人形劇の人形との大きな違いであり、日本の古典芸能の奥深さであろう。
女性の頭の右上唇に牙のように上向きに釘が打ちつけてあり、忍び泣く時などに布を引っかけるのだが、ここの人形には、ついていなかった。
何と言っても、文楽史上、聳え立つのは、義太夫と近松門左衛門であろう。
掛け軸がかけてあって、二人の姿が描かれている。
下の写真の上が近松、下が義太夫である。
また、近松門左衛門の坐像が展示されていて、興味深かった。


会場では、舞台模型なども展示されていて、よく分かるのだが、下の舞台の横から写した写真は、特に、人形遣いの動きなどの様子が分かって参考になる。
歌舞伎もそうだが、普通の舞台は、大体、上下二段になっていて、芝居が展開されているのである。

この展示場の奥に小部屋があって、シアタースペースとなっていて、ビデオが上映されている。
日本芸術文化振興会が、国立劇場での公演などを利用して、色々な教養番組的なプログラムに基づいて作成したビデオが、放映されている。
10数人が座ってみられるスペースがあり、ビビッドな舞台映像も楽しめて勉強になる。
この日は、「文楽を味わう」を見ていたのだが、咲大夫や玉女など技芸員の話が興味深かった。
観劇の前後や休憩時間に訪れると結構面白いし暇つぶしになる。
今回は、5月末まで、「文楽入門」。
この口絵のように、人形の衣装や頭から、大夫の見台や座椅子、主遣いの舞台下駄、三味線等々、文楽関係の色々なものが展示されていて、見ていて面白い。
大阪の国立文楽劇場の展示場は、文楽専用劇場なので、このような文楽関係の展示ばかりなのだが、東京の国立劇場は、展示室のある国立演芸場以外は、皆、この展示場で行われる。
早稲田大学には、常設の 「演劇博物館」があって、中村歌右衛門など歌舞伎関係の資料などが展示されていて興味深い。
さて、本質的な問題ではないのだが、人形の衣装については、豪華なものを見ていないので、何とも言えないが、錦で織り上げられている能や狂言、歌舞伎の衣装に比べて、少し、貧相な感じがする。
主遣いの人形遣いが、人形に自ら衣装を縫い付けると言うのであるから、稼働性が重要なのであろう。
また、人形の頭も、小さい所為もあろうが、能面と比べれば、やはり、精巧さにおいても芸術性においても、多少見劣りするような気がしている。
例えば、好みの問題かも知れないのだが、典型的な若い女性の小面など、目を見張るような美しさに圧倒されることがあるのだが、文楽の場合の娘は、普通の美女と言った感じで一般受けする表情である。
三味線の制作過程もそうだが、頭の制作過程が展示されていて面白い。



日本の文楽が、世界に冠たる最高の地位を確立しているのは、やはり、三人遣いの精巧さと素晴らしさであろう。
会場では、三人遣いの様子を写真で説明されていた。
また、最も驚くべきは、人形の頭の表情を自由に変える胴串に仕組まれた精巧な子ザル(チョイ)であろうが、見ているだけでは、どのように、眉毛や口が動くのか良く分からない。
顔の表情で演技をする歌舞伎役者と、全く変化せずに顔の位置関係だけで表情を現す能・狂言の中間が、文楽人形の頭なのであろうが、異国の人形劇の人形との大きな違いであり、日本の古典芸能の奥深さであろう。
女性の頭の右上唇に牙のように上向きに釘が打ちつけてあり、忍び泣く時などに布を引っかけるのだが、ここの人形には、ついていなかった。
何と言っても、文楽史上、聳え立つのは、義太夫と近松門左衛門であろう。
掛け軸がかけてあって、二人の姿が描かれている。
下の写真の上が近松、下が義太夫である。
また、近松門左衛門の坐像が展示されていて、興味深かった。


会場では、舞台模型なども展示されていて、よく分かるのだが、下の舞台の横から写した写真は、特に、人形遣いの動きなどの様子が分かって参考になる。
歌舞伎もそうだが、普通の舞台は、大体、上下二段になっていて、芝居が展開されているのである。

この展示場の奥に小部屋があって、シアタースペースとなっていて、ビデオが上映されている。
日本芸術文化振興会が、国立劇場での公演などを利用して、色々な教養番組的なプログラムに基づいて作成したビデオが、放映されている。
10数人が座ってみられるスペースがあり、ビビッドな舞台映像も楽しめて勉強になる。
この日は、「文楽を味わう」を見ていたのだが、咲大夫や玉女など技芸員の話が興味深かった。
観劇の前後や休憩時間に訪れると結構面白いし暇つぶしになる。