熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

世につれて変わる「珈琲店」

2015年02月11日 | 生活随想・趣味
   今日の日経朝刊に、「すかいらーくも「珈琲店」」と言う記事で、コメダ珈琲店や星乃珈琲店のような、郊外型の珈琲店「むさしの森珈琲」を始めて、長居歓迎、客単価高めの、30~50代女性をターゲットにした店舗展開をする。と報じていた。
   都心のカフェのようなセルフサービス式ではなく、従業員が顧客の席にまで運ぶ、ソファなどを多くおいて、長く滞在してもらえるようにするのだと言う。
   これなら、ルノアールの郊外版ではないのかと思うのだが、どうであろうか。

   海外の仕事が長かったので、日本のコーヒー店には、それ程詳しくはないのだが、昔、我々が、仕事などで、「お茶でも・・・」と言って出かけて行ったのは、ルノアールのような喫茶店であって、趣向を凝らした個人経営の喫茶店も多かったと思うが、大体、似たり寄ったりの店が多くて、あまり特徴がなかったように思う。

   ところが、ドトールが店舗展開を始めて安くて簡便なコーヒー店が都市部に出来始めて、その後、スターバックスやタリーズなどのチェーン店が、喫茶店のイメージを革命的に変換し、マクドナルドなどファストフッド店も、安いコーヒーを提供するなど、珈琲店は、様変わりして行った。
   今では、これら都心のカフェーも、コンビニの安くて簡便なコーヒーに押されて大変だと言う。

   海外を歩いていて思うのだが、アメリカでもイギリスでも、スターバックスが店舗展開するまでは、日本のような喫茶店がなくて、町中で、コーヒーを飲むためには、ホテルのロビーに行くか、ファーストフード店に入るかくらいしかなくて、大変困った。
   イギリスのコーヒーは不味いし、紅茶の方がアフタヌーンティもあって、良かったのだが、その紅茶文化も、今や、スターバックスにやられていると言う。
   アメリカも、あの水っぽいアメリカンが主体であり、英米で、本当に美味しいコーヒーを飲みたければ、高級ホテルか高級レストランで、ディナーなどでサーブされるコーヒーを味わう以外になかったように思う。

   したがって、ハワード・シュルツが、ミラノで、エスプレッソとカフェラテの上手さに感激して起こしたスターバックスが、美味しいコーヒーを、安くて簡便に身近な店で味わえなかった英米人に提供したのであるから、皆が喜んで押しかけて人気を博したのは当然であり、爆発的な発展を遂げることとなった。
   素晴らしい喫茶店文化にどっぷりと浸かっていた我々日本人や、素晴らしい質の高いカフェ文化を謳歌していたウィーン子にとっては、当たり前のことが、英米では、そして、ドラッカーまでが、スターバックスをイノベーションだと囃し立てたのである。
   顧客の好みのレシペでコーヒーをサーブして貰えるなど多少日本の喫茶店よりイノベイティブであったとしても、素晴らしい場を提供したとするドラッカーの言などは、日本の喫茶店やシルクロードのチャイを考えれば、スターバックスが革命的でも、特別なイノベーションでもなんでもない。
   大切なことは、新しいビジネスモデルを構築して、ブルーオーシャン市場を開拓して、新規顧客を一網打尽に取り込んだ戦略戦術、経営革新の成果なのである。

   さて、日本の喫茶店だが、私は、ルノアールなども、食事をサーブし始めて臭いが充満し、喫煙の煙がもうもうと立ち込める雰囲気が嫌で、殆ど行かなくなり、地方などに行くと、昔懐かしい擬古的な個人経営の喫茶店を探して行っていたが、とにかく、最近は、スターバックスやタリーズなどくらいで、あまり行かなくなった。
   旅に出ると、モーニングサービスで憩うのが好きなので、個人経営の個性的な雰囲気のある喫茶店を探して出かけて行く。

   ところで、星乃珈琲店は行ったことがないのだが、コメダ珈琲店は、鎌倉にもあって、2軒ほど行ったことがあるが、混んでいて大衆化しているので、また行きたいとは思はないし、新しい「むさしの森珈琲」が、そのような店なら、食指が動きそうにはない。

   郊外であればあるほど、静かで落ち着いた雰囲気を醸し出すような喫茶店でなければ、意味がないと思っている。
   鎌倉市役所の前にあるスターバックスは、地元の人の利用も多いようだが、銭洗い弁天への観光客で、何時もごった返していて、それでも、並んで待っている人が多い。
   ところが、その通りにある小さな喫茶店や簡易レストランは、信用がないのか人気がないのか、閑古鳥が鳴いていたり潰れたりしており、人の嗜好は読みにくい。
   しかし、この道は、殆ど年中観光客の絶間がないのだから、やり方次第で、商機をつかめるのではないかと思っているが、殆ど住宅街なので難しいのかも知れない。
   

   珈琲店の経営も、ファーストフード店やレストランの経営と同じで、今流行りかけているとか流行っているとか言った感じのビジネスモデルに、新規参入するのは、考え物だと思う。
   何でもそうだが、ブルーオーシャンを目指して、誰もやっていないような魅力のある市場を生み出すべく、創意工夫を前面に押し出した経営戦略を追求することである。
   殆ど同じようなことをしていて、差別化の難しい飲食店などは、大小ではなく、顧客にとって魅力があるかどうか、他と違って如何に値打ちがあるかと言った、どこにもない新規性が勝負だと言う気がする。
   客が行きたいと思う店を立ち上げることである。
コメント
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