【教務主任通信(6)】強化学習・マイナスの強化にしないために(アドラー心理学から)

ある年の6年生の授業で、子ども達から「プラス思考」の話題があがったことをきっかけにして、「マイナスのスパイラル」に入らない方法を何気なく話しました。

キーワードは「肯定文」と「否定文」の差です。

 「否定文」とは「○○しない」という「ない」で終わる文型のことを意味することにしました。例えば、「遅刻しない」「ふざけない」「授業中はおしゃべりしない」「けんかしない」「泣かない」という文です。
 学校行事で七夕集会とか節分集会をすると、願い事にこの「否定文」の文章が割と多く出てきます。
「けんかをしないでみんな仲良くすごせますように」
「追い出したい鬼は乱暴な鬼」
「授業中にさわがないで頑張るクラスになりますように」
本当によく目にする願い事です。

 ところがこれが意外に大きな力を発揮してしまうのです。
「けんかをしない」という目標や願いを立てて、毎日自分達に言い聞かせていくと、「自分達はけんかをしやすい集団なんだ」という集団イメージを定着させていく効果が生まれてしまう。結果、その目標を立てたばかりに、もっとけんかをするクラスになっていってしまうことも考えられます。

「ふざけない」という言葉が出てきた場合は、「自分はふざけてしまいやすい人間なんだ」というセルフイメージが無意識にあって、くり返し言葉したり、身近な人が「ふざけないで」と注意を聞かせることで、その「マイナスイメージ」が強化されてしまう場合も多いはずです。

 こうしたことを防いでいくためにも、目標設定の言葉には「肯定的な言葉」を慎重に選んでいく必要がありそうです。
「授業中はふざけない」という言葉は、「自分は授業中に集中できる。集中する。」という肯定的現在形にする。「けんかをしない」という言葉は使わずに、「いつも仲良く楽しいクラス」と表現しておけば十分なのではないでしょうか。

 こうした考え方はいろいろな本でも紹介されていますが、今回の裏付け理論として下記に紹介する本の一節を引用させていただきます。

「やめようとする努力そのものが、ますますその行動へのこだわりを深め、その行動の頻度を高めることにつながるということである。それまで何も気にならなかったことが、やめようとすればするほど罪悪感を伴ってこびりついてしまう。代替案が否定文でなく肯定文でなければならない理由はここにある。」(岩井俊憲 著「アドラー心理学によるカウンセリング・マインドの育て方―人はだれに心をひらくのか」)

アドラー心理学によるカウンセリング・マインドの育て方―人はだれに心をひらくのか
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