【教務主任通信】 宮沢賢治「やまなし」研究 6

「8時間の授業で子どもたちの何を育てるか?」

今回は1度、文芸研の教材研究から離れてみます。

「やまなし」を扱う単元は「作品の世界を深く味わおう」というテーマのもとで進められます。主教材文が「やまなし」で、副教材文が賢治の生涯を書いた伝記「イーハトーブの夢」です。実は「イーハトーブの夢」だけでも5時間くらい授業時間を使って指導できる内容なのですが、なんと!この単元は2教材で8時間扱いです。6年の先生方!はたして授業できるのか???(苦笑)

ベテランのN先生からも相談されました。
「これを8時間で授業するのは難しい。総合的な学習に入れてもいいのだろうか?」
と。しかし残念ですが、今年から総合的な学習の時間数は年間70時間。6年生の場合、その内訳は、日光関連20時間、学芸会関連15時間、CPリテラシー5時間、卒業関連20時間、平和意見文4時間、租税教室2時間、福祉関連4時間とこれだけ終わりです。「やまなし」に関連させる時間はありません。どうしても総合で関連させたい場合は、学芸会や卒業関連の時数を減らす必要が出てきます。

読み込んで、子どもたちとたくさん討論をしていけば、何時間でも学習し続けられる教材である「やまなし」ですが、それをしたら、まるで底なし沼のように抜けられなくなるでしょう。そこで8時間で授業をしていく計画性が教師に問われてきます。

では、どう考えたらよいのでしょうか?

たった8時間で子どもたちの何を鍛えるのかをしっかり持っている必要があります。
以下に示すのは井上案です。授業は授業者のやりやすいように変えていくことが大事なので、この案に振り回されないように気をつけて下さい。



【1案】(鍛える力)ひとつの作品から多くの作品へと読み広げる能力をつける。

①「やまなし」を宮沢賢治作品への導入教材として使い、作品の不思議さを5時間で味わわせる。
②学習のスタートから、読書指導として「宮沢賢治作品を読み広げる」ことを指導し、授業での読解と同時進行で、宮沢賢治の他の作品も宿題で読ませる。
③2時間で「イーハトーブの夢」を授業する。賢治の生き方や考え方にふれ、賢治作品を読もうとする意欲につなげる。
④最後の1時間でグループごとのブックトークを行う。
⑤宿題で「宮沢賢治新聞」を書かせる。
この流れで学習すると、2月に行う「海の命」の学習につながります。



【第2案】(鍛える力)作品を深く味わう力

①「イーハトーブの夢」から2時間学習し、宮沢賢治の生き方や考え方を知る。「雨にも負けず」を暗唱することを宿題にする。
②「やまなし」を4時間学習する。
③「なぜやまなしを書いたのか」「クラムボンとは何なのか」など、子どもたちから出た学習課題について2時間かけて調べたり話し合ったりする。

早くも明日は指導案検討会
みなさんも、6年生のお二人に良いお知恵をプレゼントしてあげてくださいませ。


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