責任は教師がとり、手がらは子どもに渡せ!

給食指導の例をあげます。

先週の学校公開で他校の先生が参観に来ていました。私に相談もあるとのこと。聞いてみますと、
「○年生のある学級がうまくいっていない。何か良い考えはないか。」
ということでした。

井上「そのクラスでは何が起きているんですか?」

先生「担任との関係が崩れているんです。専科の授業は問題なく受けているのに、学級に戻ってくると乱れるという状況です。」

井上「その先生の給食指導はどうですか? くどいんじゃないですか?」

先生「ああ、確かにそうです。細かすぎるんですよね。子どもたちからうざいと言われてしまっています。」

井上「細かく言うわりに、自分では何もしていないんじゃないですか?」

先生「ええ、指示だけしていますね。子どもたちにやらせないと自主性が育たないと言っていますね。」

井上「じつはそこに落とし穴があります。給食指導にしろ、何の指導にしろ、何かを達成させるのは子どもの責任ではなく、担任の責任でやるものです。担任がいっしょに給食準備をして、どこの学級よりも早くいただきますをしていれば子どもたちの自信になりますが、担任が何もせ
ずに『早く準備をしなさい、ああしなさい、こうしなさい。』と言っているだけなら、当然子どもたちは『あいつ、ウぜーな』と感じるはずです。」

先生「なるほど、そうですね。」

井上「たとえば私なら、『12時20分までにいただきますをするよ!』と目標設定して、子どもが動かなかったら全部自分で準備してしまうくらいのことをします。その勢いで担任が動くと、自然に子どもも動くものです。そして本当に12時20分にいただきますができたら、子どもたちの手がらにしてあげればいいのです。『やったね!みんなすごいね!給食準備日本一は絶対にうちの組だね!』と言ってあげればいいのです。こういうことの繰り返しで、子どもたちは自信を深めるし、『もっと頑張ろう』という本当の意味の自主性が育つんです。」

先生「はい、井上先生が言っていることは、私が感じていたことと同じで、自信になりました。」

井上「指導は短く強く言う。くどくどと言わない。不必要に長い指導は効果ないどころかマイナスですからね。注意するくらいなら一緒にやってあげればいいんですよね。」

その先生は笑顔で帰って行きました。



山本五十六の有名な言葉に、「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ」とあるように、まずは教師がやってみせる。その姿に子どもたちが納得したら、こんどはどうしたら良いのかを言って聞かせる。その上で、子どもたちにやらせてみて、“適切に”褒めると自主性のある子どもになります。


そうそう、褒めることもその先生と話しましたっけ。
井上「褒め方も下手な褒め方だと、子どもたちは敏感に感じますよね。褒められたのにバカにされているなんて感じることもあります。」

先生「はい、高学年の子に、低学年を褒めるような褒め方をしたら、当然なめられますね。」

井上「相手が褒められて感激する。頑張って良かったな、認めてもらえたんだなと感じることができる。また頼むね!なんて担任に言われて、よし!また頑張ろう!と思える。それが上手な褒め方ですよね。」

先生「いや~、短い時間に貴重な意見をたくさん聞けて良かったです。やはり来てよかったです。」



子どもの自主性というのはどのように育つのか。それは担任が認めてくれている、一緒に進んでくれているという安心感の中で、担任と一緒になって目標に進むから自ら動くようになるのです。これは大人の世界でも同じです。人間には「承認欲求」というものがあります。その欲求が満たされる仕事場は活気にあふれていろんなアイデアが生まれますが、「管理」ばかりに目が行く仕事場には新しいものは生まれてきません。


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このドリルで指導することができるようになると、子どもたちが作文を書くことが楽になります。マインドマップのかき方については、学校として私を講師に呼んで下さればお伝えさせていただきます。
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