地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

07年GW・奥の細鉄 (18) 南部縦貫D451

2007-08-14 07:41:50 | 保存・園内・特殊車両


 超豪華のつぎは、いきなり超侘び寂びもありうるのが当ブログです (^^;
 南部縦貫のイベントでは、昼12時の開始後しばらくの間、誰もが目の前に引き出された車両群に向かって必死にシャッターを切っておりましたが、特に車両が動くわけでもなし。そこで、やや時間を持て余した参加者の多くは、次の新たな展開があるまで旧駅舎の供食コーナーなどに散り、会場はしばしのんびり・まったりモードに入りました。
 そんな中、午後1時からは庫内の公開が始まり、参加者は三々五々、機械油の匂いが充満する薄暗い庫内へと足を踏み入れて行きました。そこで眼にしたものは……窓から差し込む光に照らし出された2輌のDL! 手前は南部縦貫オリジナルのD451で、奥は羽後交通から譲り受けたDC251です。



 このうち、D451は南部縦貫鉄道がたどった悲劇をそのまま代表している車両だと言えましょう。もともと南部縦貫鉄道は、高度経済成長期に地方の工業化を推進する政策のもと立案された「むつ製鉄」事業の延長として、原材料となる砂鉄の輸送を行うための鉄道として建設されたという経緯があります。そして、レールバスとは比べものにならないほど (?) 堂々たるスタイルのD451は、まさに砂鉄輸送の第一線を担うために用意されたのでした。
 しかし、「むつ製鉄」事業は採算が合わず計画倒れに終わり、本来の役目に就く前に職にあぶれたD451は、その後細々と国鉄連絡の車扱貨物輸送に従事したのでした。ところが、それも1984年の国鉄貨物激変・車扱貨物大幅切り捨て断行により終了し、D451は他の多くの私鉄機関車と同じく完全に命脈を絶たれて今日に至っています。唯一この車両の幸運なところは、辛うじて庫内に置かれて生きながらえることが出来たことでしょうか。
 そこで、外に引き出された姿を撮ることは出来ないものか……と思い、保存会の方から伺ったところによると、そもそも1984年の貨物廃止以後全くと言って良いほど動いていないため、車軸が完全に固まっており、動態保存はおろか、移動させること自体が非常に難しいとのこと。うーん残念……。
 というわけで、このような空間に、青いDLがこうして末永く鎮座し続けるであろうこと自体、とてつもなく貴重なことだと思った方が良いのかも知れません。