ミャンマーの民主化と経済開放はまだまだ多くの問題を抱えながらも日々刻々と進んでいる昨今ですが、これまで鉄道趣味的にみた場合の一里塚といえば、鉄橋などを除けば写真を撮っていても怒られなくなったということでしょうか。そしてまた新たな一里塚として……祝!外国人料金廃止! とりわけヤンゴン環状線の各駅では、物好きな外国人観光客が列車の中からヤンゴンの街を見物しようとやって来る度に(とくに11~14時頃は死ぬほど暑いため、列車に乗って涼むのは時間の使い方として割と賢明)、いろいろと書き込む内容が多い手書き切符を発券するのは面倒臭かったのでしょう。(※なお、外国人料金廃止によって、環状線&ヤンゴン近郊区間の利用時にはパスポートは要らなくなるものと思われますが、要確認! いっぽう中・長距離列車の切符購入時と乗車には、依然としてパスポートが必要であるはずですので要注意!)
いっぽう、もう一つの新たな一里塚として長らく記憶されることになりそうなのが、キハ181によるヤンゴン環状線初の冷房車「エアコンヤター」でしょう!!
これまでのヤンゴン環状線といえば、昨年訪問時のカットを当ブログにアップした画像からもお分かりの通り、主力車両は英領ビルマ時代のディーゼルカーを客車化した超!骨董品であり、これに加えてボロボロの一般客車をロングシート&多扉化したものが混ざるというわけで (とりわけ4扉ロングシート車の存在にビビリますが、これは英国の流儀でドアが多いアッパークラス寝台車の格下げではないかと思っております)、低く抑えられた運賃と相まって、庶民や行商にとっては重要な足であったといわれております。しかし、如何せん激安な運賃(しかも、全車非貫通で検札が来ないため、タダ乗りで誤魔化せてしまうという……)と経済的沈滞の組み合わせでは、何時まで経っても車両更新や線路・駅設備の近代化は出来ず、結局チャリンコ並みの速度の骨董品がガタピシ言いながら走るという状況が固定化し、多少高くても良いから運賃を負担して快適な車両に乗りスピーディーに移動したいという客層が自家用車や路線バスに逸走する結果を招いてきたようです。しかし、ここ2~3年の急速な経済発展開始により、あっという間に渋滞発生! ジャカルタで非冷房エコノミが日本中古冷房車に置き換えられた経緯と同じように、都市近郊鉄道へのテコ入れによって快適な車両を揃え、新中間層の鉄道利用を促し、運賃を確実に取ってそれをさらなる設備投資に回す……というサイクルが確実に必要な段階となったと言えましょう。
そんな期待を一身に背負って、ミャンマーに譲渡されたJRW「はまかぜ」用キハ181のうち5連1本が環状線「エアコンヤター」となったわけですが、1周約3時間かかる環状線で1編成のみということで、まだまだ焼け石に水であることは否めません。しかも、昨年10月の運用開始当初は、本来高速運転に適した特急用車両であり、かつなるべく運用効率を上げるため、環状線初の快速運転に供されて1周2時間で走ったとのことですが、あっという間に今年の1月から客車列車と余り変わらずチンタラ走る各駅停車となりました (それでもほんの少々早く、1周2時間30~45分程度?)。それが何故か?につきましては改めて記すことにしますが (鬱)、ともあれ今回のヤンゴン訪問で最もエネルギーを注いだのは、滅多に来ないエアコンヤターをつかまえて激写することであったと断言できます (滝汗笑)。というわけで続く……(^^;