トンブリー駅で客車を激写しながら、のんびりまったりとした中にも次第に客が増えて賑わいを見せるホームの情景を眺めておりますと、やがてタイ人客がそわそわし始め、私自身も「あれ……何かヤバくないか?」という懸念が生じて参りました。ラチャブリー発・7時10分着の2連DC通勤列車はフツーに到着し、サラヤへ向けて折り返したものの (サラヤは、バンコクの西の街外れにあたる小駅)、その後に来るべきランスアン行普通列車がいつまで経っても入線しないという……。要するにこの列車は、ランスアン発・トンブリー6:40着の快速列車の折り返しであるのですが、タイ国鉄名物・怒濤の遅延のため、そもそも到着していないということなのでありました (汗)。
では、肝心のナムトク行は……? ネットであれこれ泰緬鉄道乗車記を検索したところ、割と長い編成でやって来るということではないか……。しかし、目の前にいるのは4連と2連でしかなく、両者を足しても長いとは言えない……。さりとて、朝のナムトク行編成は別の場所に留置され、トンブリー駅に回送されて来るという話も聞いたことがありません。
では、真相は果たして如何に?!……その答えはすぐに明らかとなりました。何と、ロングシートの最古参級客車も含む4連こそ、トンブリー発ナムトク行の編成そのものだったのです! (滝汗) しかも、側線に留置されていた編成に本務機が連結され、客は線路の上を歩いて客車に乗り込むということではなく、まず北側の機関区からスイッチャーが駅東側に出て来て、編成のバンコク寄りに接近・連結ののち一旦全編成が東側引き上げ線に持って行かれ、そのうえで2番線に押し込むという、何とも魅力的な入換を始めたものですからビックリ仰天! 駅舎西側のトイレに近いあたりで、使用停止となった腕木信号機をスナップしながら佇んでいた私は「しまった!美味しすぎる入れ換えをあっちの方でやっている!」と泡を食って、数多の客をかき分けて猛ダッシュ……(^^;;)。辛うじて、編成を2番線に押し込むシーンを激写しまくったのでした (爆)。
それにしてもこのスイッチャー、専用線用・産業用という雰囲気の面構えがなかなか良いですし、色褪せた塗装もグッド♪ 加えて後ろには旧客ということで……またいずれこの入換シーンはリベンジしなければいかんなぁ、と思っております。
それはさておき、結局この4連がナムトク行で、うち1両は既述の通りロングシート。いっぽう手前の紫塗装の車両は、半室が乗務員控室、もう半室が僧侶専用席ということですので、一般客は乗れません……。というわけで結局、ほとんどの客は2両目と3両目のボックスシート車 (2両目は1950年代日本製の半鋼製車。3両目は日本10系客車タイバージョンのマッカサン工場ライセンス生産車) に集中し、乗車開始とともにてんやわんやの大騒ぎに! とくに、7時30分発のランスアン行がそもそもトンブリーに到着していないため、ナコーンパトムあたりまで行くと思われる (実際ほとんどその通り。もちろん中にはカンチャナブリーまでの客もいました) タイ人利用客もナムトク行に集中し、発車時点までにボックスシートのほとんどはタイ人と西洋人観光客(そしてチラホラと日本人観光客+鉄ヲタはこの日私一人)で埋まったのでした……(超滝汗)。
誰だ!ナムトク行はトンブリー発車時点ではガラ空きの快適♪などと書いたのは……。これはひとえに、タイ国鉄が最近ナムトク行きを最初から最後まで長大編成で運転するのを止め、カンチャナブリーからタムクラセー桟道橋の間のみ乗りたい外国ツアー客のために、カンチャナブリーでボックスシート客車を5両増結し、「特別席」と称する座席指定車としているからであります……。まぁ確かに、カンチャナブリー駅やクウェーヤイ川鉄橋駅で大挙して待ち構えるツアー客の皆様が、全車自由席ゆえに右往左往するよりも、タイ国鉄が最初から300バーツという結構な御値段で指定席を売りつけ、外国人や旅行会社も安心して座席を確保する方が、両者にとって便益を最大化出来るというものでしょう。
というわけで、トンブリーから100バーツ (カンチャナブリー以遠へ行く外国人限定の、泰緬鉄道保存協賛特別外国人運賃)を払って長時間乗車し、かつ進行方向左側のボックスシートを断固ゲットしたい方は、とにかくトンブリー駅に早めに着いて、席取り合戦に勝利するしかなさそうです。まぁ、ランスアン行がフツーに先発していれば、ナコーンパトムあたりまでのタイ人利用客はそちらに流れるでしょうから、ナムトク行は外国人個人客ばかりとなってもう少々車内に余裕があるのかも知れません。
しかし……近年世界的にタイ観光が大いに脚光を浴びるのみならず(とくに、エキゾチックなオリエンタリズム的思慕を抱きながら、そこそこ便利・快適な旅をも楽しみたいという白人観光客に超人気!)、タイ人中間層の拡大によってバンコク市民も中距離観光を気軽に楽しむようになり、泰緬鉄道はとりわけスペシャルな車窓展望の路線としてタイの内外問わず人気を博する中では、トンブリー発の一般車とカンチャナブリー増結の特別車との分離という政策も空しく、阿鼻叫喚の世界が待ち構えていたのでした……(@o@)。バンコクでどれだけ政情不安があろうが、バリケードとデモ会場の外側では至って平常通りの賑わいがある中では、外国人の誰もが「まぁタイほどの国なら安心して訪問出来るだろう。マイペンラ~イ」とタカをくくり、実際に押しかけておりましたので、政情不安なら観光列車も空いているだろうという「期待」は一切無駄無駄! そして、もし政情不安がなければ、もっと怒濤のように外国人観光客がナムトク行目がけて押しかけるのではないかと……(超滝汗)。では、そんな中でどのように鉄ヲタ活動を貫徹すれば良いのか?! その個人的な答えは、待て次回!(誰も期待してねーか ^^;)。