~あらすじ~
因習深き寒村で発生した連続殺人。名探偵だった母の跡を継ぎ、古式ゆかしき装束を身にまとい、御陵みかげは事件の捜査に乗り出した……。
~感想~
麻耶雄嵩5年ぶりの長編は、今回も真ん中直球でありながら、ただのストレートではないブレ球で空振りを誘ってくれる。
流行を通り越してもはや定番となったツンデレ気味のヒロインを用いながらも、もちろんあの麻耶がただのツンデレを登場させるわけがない。
御陵みかげという強烈な個性を主軸に据え、本格ミステリのコードをなぞっているはずの展開を容赦なく破壊してみせる。
ちりばめられた手がかりと、名探偵による気づき、狡知な犯人の罠に快刀乱麻の推理と、どこまでも本格ミステリしているのに、それら全てを逆手にとってみせるのがすごい。
ネタバレを恐れずに言うと、これまで『鴉』、『木製の王子』、『蛍』、そして短編の『交換殺人』、『こうもり』と、本格ミステリのある定番ネタを、読者の予想の斜め上を行く方法で仕掛け、未曾有の傑作を産み出してきた麻耶が、今回は「アレ」を使ってすごいことをやらかした、といったところ。
今さらながらやはり麻耶雄嵩恐るべし、である。
全くの余談だが、麻耶作品にリアリティを求めて「虚心坦懐に見よ!」などとこっ恥ずかしい見出しで星1つを付けてしまう(しかも麻耶作品は初読の)アマゾンレビュアーの存在意義ってなんなのだろう。
出口はあちらですので二度と迷い込んでこないでいただきたいものだ。
10.11.8
評価:★★★★ 8
因習深き寒村で発生した連続殺人。名探偵だった母の跡を継ぎ、古式ゆかしき装束を身にまとい、御陵みかげは事件の捜査に乗り出した……。
~感想~
麻耶雄嵩5年ぶりの長編は、今回も真ん中直球でありながら、ただのストレートではないブレ球で空振りを誘ってくれる。
流行を通り越してもはや定番となったツンデレ気味のヒロインを用いながらも、もちろんあの麻耶がただのツンデレを登場させるわけがない。
御陵みかげという強烈な個性を主軸に据え、本格ミステリのコードをなぞっているはずの展開を容赦なく破壊してみせる。
ちりばめられた手がかりと、名探偵による気づき、狡知な犯人の罠に快刀乱麻の推理と、どこまでも本格ミステリしているのに、それら全てを逆手にとってみせるのがすごい。
ネタバレを恐れずに言うと、これまで『鴉』、『木製の王子』、『蛍』、そして短編の『交換殺人』、『こうもり』と、本格ミステリのある定番ネタを、読者の予想の斜め上を行く方法で仕掛け、未曾有の傑作を産み出してきた麻耶が、今回は「アレ」を使ってすごいことをやらかした、といったところ。
今さらながらやはり麻耶雄嵩恐るべし、である。
全くの余談だが、麻耶作品にリアリティを求めて「虚心坦懐に見よ!」などとこっ恥ずかしい見出しで星1つを付けてしまう(しかも麻耶作品は初読の)アマゾンレビュアーの存在意義ってなんなのだろう。
出口はあちらですので二度と迷い込んでこないでいただきたいものだ。
10.11.8
評価:★★★★ 8