東方のあけぼの

政治、経済、外交、社会現象に付いての観察

ハイド委員長へのリトマス試験紙(7)

2006-09-21 21:29:17 | 靖国

ハイシー ドウドウ ハイシー ドウドウと一直線にやってまいります。

ローレン ローレン ローレン とカウボーイ・ハイドが西へ向かいます。

懐かしいですな。西部劇の最高傑作ですよ。

前回はアメリカ政界にも国共合作があることをご紹介したわけである。国共合作といっても分かるかな。説明しているヒマもないが、内戦を棚上げして抗日統一戦線を組んだ国民党(後に台湾に逃げる)と中国共産党の野合だ。

さて今回はカウボーイ一直線の物語だ。極東軍事裁判ではアメリカは歴史を満州事変で区切ったからああいうストーリーが出来た。存外このストーリーは客が呼べるということが分かった。この古臭い話が今でも朝鮮半島とか中国大陸のドサまわりの芝居小屋に行くと客に受けるというのだからいやになる。

今日は1923年から始まる物語をしよう。この年からはじめるとアメリカの行動が一直線の電車道であることがよく分かる。1923年8月に日英同盟は更新されないまま満期失効となった。長年にわたるアメリカの執拗な工作が実ったのである。イギリスも第一次大戦が終わり国際連盟も出来るという状況で日露戦争当時のような熱もさめていた。

なお、日本の一部の評論家が第一次大戦でイギリスの要望に応じて欧州戦線に地上軍を送らなかったのが、イギリスが同盟を延長しなかった理由だと機会があるたびに云うがこれは疑問である。日本はインド洋、地中海に海軍を派遣して、ドイツUボートからの輸送艦船の護衛、海上補給路の確保などに活躍して相当数の死者を出している。イギリスをはじめ欧州各国から非常に感謝されていたという記録がある。もう少し、史実に即してものをいうべきだろう。最大の理由は大戦後のイギリスの疲弊とアメリカの工作だろう。

1921年、日本、イギリスに加えてフランスとアメリカを加えた四カ国条約というものが出来たが、これは日英同盟つぶしを狙ったものである。この四カ国条約そのものはなんらの実績も上げない有名無実のものであった。

1923年日英同盟の失効でアメリカは日本と戦争になってもイギリスから攻撃される恐れがなくなった。あとは日本に無理難題を吹きかけて自滅を待つだけである。この時期はちょうど明治政府を立ち上げ育てた元老が次々と死んでいった時期と一致している。高齢のために活動の最盛期は過ぎていたとはいえ、1921年の宮中某重大事件で政治的に失脚した山県有朋は1922年死去した。入れ替わって権力を握ったのが、ようやく成熟してきた高級軍事官僚の集団である。現在の経済官僚とまったく同じで、無責任集団である。政治的センスは皆無。外交的には鼻がきかない。臭覚異常をおこした痴呆犬である。

アメリカにとって1923年から1945年までの22年間は一直線のシナリオが描けた時期である。おまけにこの期間の大部分がルーズベルト、トルーマンの長期民主党政権であった。アメリカの大義とはこのようなものである。この大義にけちをつけることはハイド氏には認めることが出来ない。三つ子の魂百までである。遊就館展示の垂れ込みはだれがしたのか、効果抜群だったわけである。


ハイド委員長へのリトマス試験紙(6)

2006-09-21 09:08:20 | 靖国

ハイド委員長というのは思想的には共和党再右翼だってね。靖国神社の遊就館の展示も第二次大戦のアメリカの言い分に文句をつけているというので気に入らないわけだ。そのかれが民主党最左翼の人権主義者、中韓ロビーの影響下にあるエヴァンス議員などと共闘したわけだ。こういうのを野合というが、82歳ともなると節操も判断力も鈍るんだね。ハイド氏の政治経歴に大きな汚点を残すことになるだろう。

アメリカにとって東アジアはカリフォルニア、ハワイについで現在の最西部という位置づけである。ウエスタンの世界である。西部劇の世界である。そんなに単純でないって。単純なんだよ。間違いない。単純でなければ真理たりえないではないか。

カリフォルニアをスペインから強奪し、ハワイの王朝をアメリカ人のサトウキビ農園主の陰謀で転覆させて属領とした。ハワイの一件については日本もからんでいる。明治時代ハワイの王様は日本の明治維新を範として自国を近代化しようとして日本と親密な関係にあった。ハワイの王女を日本の皇室に嫁がせようとしていた。この女性はたしか有名なハワイアンを作曲した女性だ。

アメリカ人の農園主はハワイの王族一家を拘束し監禁した。ハワイとの親善関係から日本は海軍の艦隊をハワイに派遣した。このときの司令官が後の日露戦争で連合艦隊司令長官となった東郷平八郎である。びっくりしたアメリカはハワイ王室転覆の事後承認を日本に認めてもらうかわりに、日本の朝鮮半島政策を承認すると申し出たのである。

次にアメリカは米西戦争を仕掛けてスペインからフィリピンを奪う。最終目標は日本、中国大陸である。日本は日露戦争の前にイギリスと日英同盟を結ぶ。勿論ロシアの南下に対処することが目的であったが、アメリカも仮想敵国とみなされていた。当時の世界のスーパーパワーであったイギリスもアジアの植民地を守るためにはイギリスだけでは困難と判断した。日英同盟はイギリスが歴史上締結した唯一の軍事同盟である。

アメリカ人のメンタリティを探るには西部劇を見るのがよい。あるいは現代の西部劇ともいうべきハードボイルド小説がよい。お勧めはダシール・ハメットだ。ポイズン・シテイなんかがいいね。つまり目的地の実力者を競わせて共倒れを狙う。20世紀以来のアメリカのアジア政策は日本とシナに地域の覇権を競わせ、どちらが一方が優勢になると、反対側を支援して両者を消耗させる。

よく、民主党は中国より、共和党は日本よりなんていうが、基本的に両天秤をかける政策にはかわりがない。たしかにクリントンの時には経済問題で日本たたきが露骨だった。それに反して江沢民あたりとはきわめて親善であった。これは当時の世界情勢による。冷戦が崩壊してアメリカは日本を無条件で庇護する必要がなくなった。当時、1990年代初めはバブルがはじける前で日本経済は放っておくとアメリカを圧倒して世界に覇権を唱えるのではないかとアメリカは恐怖した。世界第一でなければならないアメリカは何が何でも日本を弱体化しなければならなかった。

クリントン、そして江沢民は大成功した。売国無策派閥竹下、橋本及びその末流政権のおかげである。ブッシュが出てきたのはその後だ。小泉首相は何が何でも反撃に出ざるを得なかった。多少マンガチックなパーフォーマンスもあったが、一応流れを変えることには成功したといえる。共和党にはハイド氏のような人もいる。その時々の世界情勢も影響する。ゆめゆめ御油断めさるなヨ、おのおのがた。