麻生首相がこう言った。「選挙の敗因は積年の自民党に対する不満」。
内容を自己分析したかどうかは知らないが、ま、こういう抽象的な総括をしておけば間違いと言われることもあるまい。
積年とはなんぞや。何年間なりや。これもあいまい。結党以来55年の、というのか。あるいはいつからなのか。これも明言していないのだろう。
そこで下拙は一応前回総選挙以来の4年間ととらえて総括する。小泉純一郎が郵政選挙で勝ったとき以来だ。
前回の選挙は皆様ご案内のとおり、郵政民営化の是非一点に絞り込まれて(小泉氏の悪だくみに乗せられて)おこなわれた。民営化は悪いことではない。まずたいていの人が賛成する。しかしその主唱者には民営化を清く正しく行うことが求められる。
その後の自民党の体たらくは民営化が清く正しく行われていないことが判明しても既定路線だからというので誰一人(鳩山邦夫以外は)民営化の正当性を体をはって守ろうとしなかったことである。
驚くべきことは郵政民営化に命をはると思われた小泉一派と小泉チルドレンの誰一人として西川郵政民営化の不正、不当、不適切を正そうとしなかったことである。
なにか言おうとすると逆に相手にこう言った。「あんた郵政民営化に賛成したでしょ」、つまり郵政民営化の名分を隠れ蓑に不正を行っても文句を言うなというのである。これはヒットラーが選挙に勝って政権を取った後で矢継ぎ早に不正手段で自己を独裁化していく過程で相手を恫喝した態度と瓜二つである。
それも、自民党内の反対派に対して言うなら党内抗争の一貫としてあるかもしれないが、批評家、マスコミ、国民に対しても同じ恫喝を加えたことである。
かと思うと、一方では安部元首相は郵政反対派で党外に追われた連中を「おかえりなさい」と迎え入れている。郵政民営化を路線変更するのかと思ったらそうではない。こんなわけのわからないことがあるか。しかも、かって反対していた連中も復党すると口をつぐんで民営化に意見を言わない。
自民党という団体をひとつの有機体にたとえるなら、これは典型的な人格障害である。こんな連中を国民が支持すると思ったら大間違いである。
人格障害といえば、総選挙もせずに三回も総裁選挙で首相を決めた過程もおかしかった。安部さんの場合は細かいことをわすれたが、福田、麻生の場合は何人も立候補したのに、投票前になると党内基盤も弱い福田、麻生に80-90パーセントが靡く。選挙で人気になるだろうというだけの思惑である。
国民観客は見ていて人格障害者が演じる芝居と観るのは当然だろう。自民党員はこれが人格障害者と見られるという危惧もいだかない。ま、ハッピー・ピープルというべきだろう。
自民党の諸君、いま君たちはハッピーだべ。