東方のあけぼの

政治、経済、外交、社会現象に付いての観察

衆議院選挙観戦記4

2009-09-01 10:00:40 | 社会・経済

麻生首相がこう言った。「選挙の敗因は積年の自民党に対する不満」。

内容を自己分析したかどうかは知らないが、ま、こういう抽象的な総括をしておけば間違いと言われることもあるまい。

積年とはなんぞや。何年間なりや。これもあいまい。結党以来55年の、というのか。あるいはいつからなのか。これも明言していないのだろう。

そこで下拙は一応前回総選挙以来の4年間ととらえて総括する。小泉純一郎が郵政選挙で勝ったとき以来だ。

前回の選挙は皆様ご案内のとおり、郵政民営化の是非一点に絞り込まれて(小泉氏の悪だくみに乗せられて)おこなわれた。民営化は悪いことではない。まずたいていの人が賛成する。しかしその主唱者には民営化を清く正しく行うことが求められる。

その後の自民党の体たらくは民営化が清く正しく行われていないことが判明しても既定路線だからというので誰一人(鳩山邦夫以外は)民営化の正当性を体をはって守ろうとしなかったことである。

驚くべきことは郵政民営化に命をはると思われた小泉一派と小泉チルドレンの誰一人として西川郵政民営化の不正、不当、不適切を正そうとしなかったことである。

なにか言おうとすると逆に相手にこう言った。「あんた郵政民営化に賛成したでしょ」、つまり郵政民営化の名分を隠れ蓑に不正を行っても文句を言うなというのである。これはヒットラーが選挙に勝って政権を取った後で矢継ぎ早に不正手段で自己を独裁化していく過程で相手を恫喝した態度と瓜二つである。

それも、自民党内の反対派に対して言うなら党内抗争の一貫としてあるかもしれないが、批評家、マスコミ、国民に対しても同じ恫喝を加えたことである。

かと思うと、一方では安部元首相は郵政反対派で党外に追われた連中を「おかえりなさい」と迎え入れている。郵政民営化を路線変更するのかと思ったらそうではない。こんなわけのわからないことがあるか。しかも、かって反対していた連中も復党すると口をつぐんで民営化に意見を言わない。

自民党という団体をひとつの有機体にたとえるなら、これは典型的な人格障害である。こんな連中を国民が支持すると思ったら大間違いである。

人格障害といえば、総選挙もせずに三回も総裁選挙で首相を決めた過程もおかしかった。安部さんの場合は細かいことをわすれたが、福田、麻生の場合は何人も立候補したのに、投票前になると党内基盤も弱い福田、麻生に80-90パーセントが靡く。選挙で人気になるだろうというだけの思惑である。

国民観客は見ていて人格障害者が演じる芝居と観るのは当然だろう。自民党員はこれが人格障害者と見られるという危惧もいだかない。ま、ハッピー・ピープルというべきだろう。

自民党の諸君、いま君たちはハッピーだべ。


衆議院選挙観戦記3

2009-09-01 00:11:09 | 社会・経済

はやくも逃げを打つ鳩山由紀夫;

気前よくバラマキを公約していた彼は、大勝後のインタビューで「自立支援が目的だ、自助努力があることが金を受け取ることの前提だ」なんていうほうに比重を移す発言をしている。

あたりまえのことを補足したんだと開き直られればその通りなんだが、言っていることの印象は前と後では正反対だ。補足のほうが強くひびく。彼にも現実認識はあるということなのだろう。

ほかにも、官僚体制の打破だとか、官僚の身分特権の見直しだとか、行政の無駄をなくすといっているが出来るのかね。小生は出来るわけがないと繰り返していたから、なにをいまさらだが、民主党は勝ってしまってみると、さあ大変ということだろう。自民党にも出来るわけがなかったが、民主党のほうがもっと出来るわけがないのだ。

民主党の重要な支持基盤は官僚の労働組合たる自治労だよ。小泉さんじゃないが、官僚支配の打破、官僚特権の打破というのは、民主党をぶっ壊せということだ。

自治労の構成員にはキャリア官僚も入っているのだろう。管理職になるまでは。自治労がゴネ取った既得権の上にキャリア官僚の特権はなりたっている。ゼロサム関係ではない。お互いに相手の特権を理由に自分のほうの利益もはかっているのだ。それで官僚体制の泰平は維持されている。

自治労はもとは社会党の支持基盤だった。社会党の村山元首相は自治労の委員長だった。こんど社民党と連立するといっているが、連立協議では社民党からシバリがかかるだろう、おそらく密約という形で。

民主党に官僚支配が打破出来たら、大したものだがね。