アメリカの象徴的な存在であった、いわゆる”アメ車”を作っていたフォード、ジェネラルモーター、クライスラーの3社(ビッグスリー)が破綻しそうである。アメ車はアメリカ自由主義経済の勝者として、アメリカ社会に君臨し象徴的な存在であった。
今年のサブプライムローン、金融危機からこのビッグスリーが経営的に行き詰まり救済しなければならないとされるが、果たしてそうなのであろうか? 大型車を作り続け時代の転換を読むことがなかったことは否めない事実であろう。燃費の向上やエコカーや電気車の開発に真剣に取り組んでこなかった結果でないか。今月は前月比のほぼ半数の売り上げ台数になっている。
アメリカ政府はビッグスリーを救済するかどうかでかなりもめている。救済するとなると、340兆円になるようである。失業者が360万になるなど深刻な経済危機が起きることが予想されるためである。
市場経済を優先する資本主義経済では、国家が企業を救済するのは社会体制の根幹にかかわることである。金を出して企業を救済するのは、社会主義的発想である。つまり、アメリカは資本主義を投げ出しているのではないか。しかも救済対象になっているのは、いわゆる勝ち組と言われる会社である。
市場経済の恩恵をたんまり授かって、運営者は数百億円の収入を得ていた。政府の救済要請にジェット機で乗り付け、まるで「シルクハットにタキシードを着て貧民街に金請いに来た」と揶揄されるほどの問題意識の欠如である。
社会主義体制の崩壊は目に見える形で、人々が歓喜の声を上げ祝ったものである。市場経済至上の資本主義経済の破綻はこうした形で、何年か経過して振り返るとあの時だったと思う形になるのでないか。それが2008年の秋なのではないか。
明らかにアメリカ金融経済は破綻し、より一層明確な形で実体経済の象徴的存在として、ビッグスリーの破産が起きるのではないだろうか。
オバマは、ビッグスリーを救うポーズを見せながらも、結局は救済に走らないものと思われる。金をつぎ込んでも、いずれこれら3社は破産することになるからである。
資本主義経済は、地方や一般国民に健康で平和的な生活を保証し、人権を守らなければなければ、社会不安と平和が保障されないことに気が付くであろう。そして後日歴史はアメリカ資本主義の転換点だと、2008年を振りかることになる歴史的瞬間にいるのではないか。