トヨタが今年度末の始業収益8000億円を下方修正し、1500億円の赤字見込みになると発表した。国内売り上げ前年同月比27%減、アメリカ売上は38%とされている。日本経済の象徴的存在であった、トヨタの実質開業以来初の赤字決算は、内外に与えるインパクトは計り知れないものがある。
他の自動車産業も、軒並み赤字決算か大幅な収益ダウインを見込んでいる。減産と人員削減 が当然のようになされるであろう。かつては企業が解雇を労働者に言い渡すのは恥とされていた。
小泉・竹中改革は、企業に都合の良い時に解雇できる、雇用関係から浮いた労働者の存在を許すことになった。企業家からモラルが消えたのである。株主に重点が置かれるようになったのである。今回のトヨタの発表で、一般企業がさらに馘首しやすくなった。なにせ”100年に一度”の不況だから仕方ない。
本当だろうか? 政策の失敗や営業不振の責任を、政治家や起業家が言い訳に使ってはいないだろうか。日本の大企業はかなりの金額を内部留保している。経営が順調な時には、企業側が利益を留保し不況になると労働者を馘首する。企業の社会的責任(CRS)は消えてしまったのか。
不況は2、3次産業の問題である。車を買わなくても人は生きてはいける。食料がなければ生きては行けない。農業には不況ないのである。外部資本や資源に依存するようになった現在の日本農業は、そうした点からも問題があり、不況の影響を受けてはいるが本来は関係ないのである。
長年1次産業、とりわけ農業を切り捨てることで経済発展を遂げてきた日本は、今こそ農業を見直す時である。農村、とりわけ山間地には限界集落がいっぱいある。500近くが程なく崩壊すると言われている。
澱んだ空気のネットカフェで、息も絶え絶えの若者たちが、新鮮な空気と広い空の下で働ける、農業をする絶好のチャンスである。若者よ、失業者たちよ、すぐに切り捨てられる都会を出て、田舎にきて農業に取り組んではくれないだろうか。