アメリカが中東 唯一の民主主義国家と呼ぶイスラエルの総選挙が終わった。140万のパレスチナ人の選挙権を著しく制限しておきながら、民主主義国家とはお笑いであるが、今回の選挙結果は予想以上に右傾化となるものであった。
中道政党のカディマは僅かに、第1党の地位を保ったが、右派のリクードが議席を倍増し、カディマに1議席差に迫った。特筆すべきは、極右翼の我が家イスラエルが第3党に進出したことである。
暗殺されたラビンを出した和平を模索する労働党の衰退が著しい。結果として、右派政党が120議席の過半数の、65議席を占めることになった。和平への道はより一層厳しいものとなった。
いずれにしても連立政権になるのであるが、ペレス大統領が誰を任命することになるのかが注目される。極右翼の我が家イスラエルの存在は大きく、新政権は中東の新たな火 種になるものと思われる。
イスラエルが、大きく右にかじを切ったのは、ハマスとイランへの脅威が根底にある。世界中から非難をされながらも、今後ともガザへの武力攻撃は続くことになるものと思われる。
イランは、イスラム革命30周年の年であるが、記念祝賀会でアフマドネジャド大統領は、アメリカ非難を抑えた。オバマの対話路線の目を潰したくなかったのであろう。
アメリカにとって、イランの最大の脅威は核開発である。イランが核開発を放棄することはまずない。イスラエルは、核施設への攻撃も辞さない。
こうして見ると、オバマ大統領の対話路線がどのように発揮されるか注目したいところである。ブッシュの負の遺産は容易に払拭されるとは思えない。イランの撤退も大きな影となるだろう。
イスラエルの右傾化は、中東和平を一層遠ざけたことになりそうである。