23日のNHK特集は「菜の花畑の笑顔と銃弾、アフガンに捧げた涙と感動の記録」という題で、医師中村哲氏が率いるNGO「ペシャワール会」の職員の伊藤和也さんの記録であった。農業短期大学を卒業し、アフガニスタンの農業指導に出かけ、拉致され殺害された伊藤さんの活動を通じて、何が本当の支援かを知ることができた。
日本の報道では、アフガニスタンの農村には武器をもったタリバンが居座っているような感がなくもない。伊藤さんが接していた現地の人たちは、誰もが温厚で戦闘態勢にある人たちとは思えなかった。
貧困と飢餓が彼らに武器を持たせ、ケシの栽培をさせるのである。伊藤さんはサツマイモの栽培を、3年間も失敗を繰り返しながらも、昨年はようやく収穫ができたのである。彼と現地の人たちの歓びようは隠しきれない。
これこそ本当の支援である。日本の国会が、ペルシャ湾でアメリカ艦隊に給油の後方支援をやっていることが、国会のねじれから衆議院に戻され、一時中断したこととで、誰もが知ることとなった。それまで、日本の中古車両につけてあった日の丸の印を削除したのである。アメリカに協力することは、日本人誰もがテロの対象になりうるからである。
本当の支援は武力ではない。武力で、どちらか一方の支援をし屈服させたところで、民衆の反感をかうだけである。アフガニスタンは、イギリス、ソビエトなどの大国と闘ってきた歴史がある。勝利した国はない。
ここに、オバマ大統領は軍事支援をやることを決めた。アフガニスタンは海に面していない。東には、すでに親米色をなくしたパキスタンがあり、西には核開発やパレスチナ問題などで敵対するイランがある。北のロシアが支援してくれていた、キルギス共和国のナマス軍事基地は、先頃閉鎖された。アメリカは空輸しか道が残っていない。
EUの軍隊も苦戦を強いられている。アメリカがここにいくら大量の兵力を投じても、民衆の支持は得られることはない。一時の服従は可能でも、民衆の心までは変えることができない。
ペシャワール会のような支援だと、儲ける企業や団体がいない。テロはアメリカの銃口の先にあるのではなく、アメリカ国内にあるのである。真の援助とはないかを、伊藤さんの活動と現地の人たちの笑顔と、殺害を悲しみ表情から見ることができる。こうした貢献は、憲法9条をもっている日本にはうってつけなのだるが、政府はアメリカ艦船の給油にこだわるばかりである。