又牛乳が値上げになります。今度は店頭価格、1㍑20円近く値上げになると思われます。理由の一つに挙げられていた、飼料用トウモロコシの輸入価格は、一月ほど前からかなり下がってきています。あまり大きな理由にならないかもしれませんが、農家はこうした時のために価格安定基金を積んでいます。
一般の酪農家は穀物の値上げにも値下げにも、基金の供出と補てんのためそれほど大きな実感はないのです。3年前の倍近くなっているので値上げの理由にはなるのですが、最も大きな理由は担い手不足ではないかと思われます。
生乳生産は、昨年度798万トンに落ち込みました。20年振りに800万トンを切ったのです。20年前と大きく異なるのは、生乳生産の半分を北海道が生産するようになったことです。飲用乳になる府県の牛乳が極端に減ったのです。値上げの最大理由はここにあるのでないかと思っています。
スーパーなどでの格安商品、お一人何本、何箱までと銘打って売られるのが、牛乳と玉子と相場が決まっていました。玉子は牛乳以上に、工業生産化されて40年もの間価格を抑え込まれてきました。酪農家も養鶏農家も頑張ったですが、何と言っても被害になったのは鶏であり乳牛自身であったと言えます。
効率優先の畜産物の生産とは、アメリカの安価なトウモロコシの給与に頼ることでした。高生産と多頭化、大量給与が定着することでより一層輸入穀物の依存が高まってきたのです。多くの消費者が、トウモロコシの値上がりが牛乳に及ぶことは考えていなかったのではないだろうか。
製造業者も、格安の牛乳を市場に提供してきました。そのため、日本の牛乳のほとんどが高温殺菌牛乳となってしまいました。欧米では、こんな不味い牛乳はほとんどありません。僅かにLL(ロングライフ)牛乳、と呼ばれ保存用や輸出向けに生産されている程度です。
玉子や牛乳の価格を抑えることで、畜産農家は効率を優先させ不健康な家畜から、玉子や牛乳を生産するようになったのです。製造業者は、効率生産のために高温殺菌牛乳を生産する結果になったのです。
畜産製品を本来の形での飼養管理による生産を消費者が希望するなら、概ね現在の価格の倍にはなるものと思われます。本当の食品とはなにか、その上で価格を考えてほしいものともいます。