安愚楽(アグラ)牧場が倒産したようだと報道されている。事実、会社関係者に連絡が取れないようである。618億円の焦げ付きで倒産された言うことらしい。
安愚楽は、一般消費者あるいは非畜産関係者たちにとっては、「和牛オーナー」制度で知られている。出資者が、牛を買って(投資)その子どもの販売の利益の一部を受け取る制度である。これは投資だから、リスクはついてくるものであろう。
安愚楽牧場の本体は、会社が行う繁殖生産と肥育牛の販売である。さらに、主に搾乳を辞めた酪農家が、安愚楽からメス和牛の預託を受け、年に1頭の子牛を戻す制度がある。農家は1日500円ほどの管理料を貰える。これが安愚楽牧場の本体である。
多くの預託農家に預託金が支払いが滞っている。経営が相当苦しくなっているのは、事実である。
栃木県に本社を持つ、安愚楽は東北にかなりの出資農家と施設を持っている。これらが、今回の震災で物理的な被害にあっている。更には、福島原発事故のによる出荷停止と販売価格の急激な下落で、一般肉牛農家同様に痛手を被ったのは事実のようである。
ようであるというのは、昨年春の宮崎県の口蹄疫問題で、初発に関係していたではないかという疑いから、信用をなくし実被害以上に大きな損害を被っている。この時の安愚楽の対応が、関係者にとって未だに不審を抱かせているからである。
この会社が急成長したのは、多分に政治的な背景がある。初期には、元自民党副総裁の渡辺美智雄(ミッチーと呼ばれた、みんなの党の喜美の父である)が、大いに営業に役立ったようである。創価学会の支援もある。
この会社は、これまでの経緯を見ていると、出資者や預託農家など周辺を切り捨てようとしての、計画倒産のようなことをやっているのではないか。安愚楽なややりかねない。安愚楽牧場は死んだふりをしているだけである。10年後のオーナーの顔を見て、今の状況を判断したい。