風評被害とは何だろう? 事実に反する思いこみによって、周辺に被害が及ぶことではないだろうか。そうだとすると、風評被害は排除されなければならない。
ところが、実際に今回のような放射能汚染が生じているにも拘らず、風評被害と括ってしまえば、消費者が実際に被害を被る事になる。
こうした時に最も重要なのは、もちろん客観的な事実である。そのためには、詳細で正確な幅広い調査とその事実の公表であろう。
福島原発事故に関しては、断じてそのようなことがなされていない。正確で幅広い調査もおぼつかないし、情報の公開も不十分である。
福島原発が爆発したのは3月である。この時に収穫している農業は殆どないが、畜産には季節がないと言ってよい。畜産は当初から直接被害受けていたのである。酪農など毎日収穫しているようなものである。
飯館村の村長は、大学の後輩である。懸命に飯館肉をブランドに格上げした村長の実家は酪農家である。この村から牛が消えた。
原発をこの国に導入した張本人の作ったテレビ局は、日曜の深夜(実質月曜の午前1時前後)に、ドキュメントを放送している。NNNドキュメントは「牛が消えた村」をやっていた。
肉牛は全て幼牛である。成長過程にある牛たちに、内部被ばくを起こさせたのは情報公開されなかったため、広範に出回った稲ワラである。牛たちを単に処分するのではなく、牛たちの内部被ばくの実態を調べるのも手ではないか。
どうせ殺されて食べられる牛である。無為に殺されるなら、彼女(肉牛のことである)たちを、追跡調査するなら、畜産農家も溜飲を下げるであろう。
そろそろ早稲米が収穫される頃である。これらの稲が内部被ばくされているかこれからの調査になろう。
ところが、昨年のお米が、古米とはいえ買われているのである。事故前のお米を求めているのである。消費者の動向は否定できない。
これを風評被害と呼ばせないためには、正確な情報の公開である。しかし、実被害は風評被害を超えているかもしれないのである。