昨日NHKでEテレ(教育テレビ)で放送された「アメリカから見た福島原発事故」は、アメリカの設計技術者に取材した、驚くべき内容のもので あった。
福島原発1~3号基は、GE(ジェネラエレクトリック社)が製作した、マークⅠと呼ばれる型式のものである。この原子炉は、写真で見ると下の方にドーナツ状になっている、格納容器が極端に小さく、事故に絶えない構造であると指摘されていたのである。
しかも、それは1971年のことである。アメリカでは80年代になって検討されて、ベント(圧力を抜く装置)の設置をするようにして、使用していたのである。
東電がベントを取り付けたのが、2001年のことである。しかも、放射能汚染されたものを外に出すのに、汚染フィルターも付けずにいた。しかも、これに係わる訓練は全くやっていなかった。今回の事故では、このベントは殆ど機能しなかった。職員が訓練されず、良く解らなかったのである。
以下はこのマークⅠを設計した技術者の言葉である。
○報道の内容ですでにメルトダウンが起きていると、事故当初に判断していた。
○1980年代にマークⅠは廃炉にすべきだった。
○マークⅠは建てなおす以外に対策はなかった。
○マークⅠは炉心溶融を促す構造であった。
○設計以外のことがいくら起きても、東電は費用を支払ってくれた。
○マークⅠは事故後の給水には耐えられる構造にはなっていない。
○水素爆発は想定通りに起き、炉心溶融も想定どおりであった。
○非常用電源の設置は多様にすべきであった。福島は数も少なく、ほぼ同様の場所に設置されて、信じられない設計ミスであった。
○日本には申し訳ないと思っている。
これらは、設計に係わった技術者たちの発言の一部である。マークⅠはアメリカには、地震の全くない東海岸にしかない。そのため、80年代の検討も、うやむやにされた経過がある。
地震大国の日本は十分に検討されるべきだったのである。アメリカからの提案も、検討内容も日本に入っていたが「日本では起きえないこと」と技術大国を自認し、無視し続けてきたのである。
今回の事故については、十分対応する時間も資料もあったはずであるが、原子力村のもたれ合い構造がそれら、全てかき消してしまった。
日本の多くの公的な事業は、これとあまり変わるものではない。もたれ合いと、責任の所在を拡散するシステムになっているのである。