そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

40年前に危険を指摘されていた福島原発

2011-08-15 | 原発と再生可能エネルギー

 昨日NHKでEテレ(教育テレビ)で放送された「アメリカから見た福島原発事故」は、アメリカの設計技術者に取材した、驚くべき内容のものでPhoto あった。

 福島原発1~3号基は、GE(ジェネラエレクトリック社)が製作した、マークⅠと呼ばれる型式のものである。この原子炉は、写真で見ると下の方にドーナツ状になっている、格納容器が極端に小さく、事故に絶えない構造であると指摘されていたのである。

 しかも、それは1971年のことである。アメリカでは80年代になって検討されて、ベント(圧力を抜く装置)の設置をするようにして、使用していたのである。

 東電がベントを取り付けたのが、2001年のことである。しかも、放射能汚染されたものを外に出すのに、汚染フィルターも付けずにいた。しかも、これに係わる訓練は全くやっていなかった。今回の事故では、このベントは殆ど機能しなかった。職員が訓練されず、良く解らなかったのである。

 以下はこのマークⅠを設計した技術者の言葉である。

○報道の内容ですでにメルトダウンが起きていると、事故当初に判断していた。

○1980年代にマークⅠは廃炉にすべきだった。

○マークⅠは建てなおす以外に対策はなかった。

○マークⅠは炉心溶融を促す構造であった。

○設計以外のことがいくら起きても、東電は費用を支払ってくれた。

○マークⅠは事故後の給水には耐えられる構造にはなっていない。

○水素爆発は想定通りに起き、炉心溶融も想定どおりであった。

○非常用電源の設置は多様にすべきであった。福島は数も少なく、ほぼ同様の場所に設置されて、信じられない設計ミスであった。

○日本には申し訳ないと思っている。

 これらは、設計に係わった技術者たちの発言の一部である。マークⅠはアメリカには、地震の全くない東海岸にしかない。そのため、80年代の検討も、うやむやにされた経過がある。

 地震大国の日本は十分に検討されるべきだったのである。アメリカからの提案も、検討内容も日本に入っていたが「日本では起きえないこと」と技術大国を自認し、無視し続けてきたのである。

 今回の事故については、十分対応する時間も資料もあったはずであるが、原子力村のもたれ合い構造がそれら、全てかき消してしまった。

 日本の多くの公的な事業は、これとあまり変わるものではない。もたれ合いと、責任の所在を拡散するシステムになっているのである。

コメント (5)
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