伊藤元重教授の「成熟市場の成功法則」について、今回は不動産開発の新しい動向について、三井不動産岩沙弘道社長とのインタビューについて書いて見たい。
「21世紀に日本橋を再生させ輝きと活力に溢れた街にする目標を掲げ、地元町内会、地元企業、行政と一体となって「日本橋地域ルネッサンス100年計画委員会」を作った。
日本橋らしい歴史・文化・伝統を大切に、そして、「日本橋から日本の経済が飛躍し、発展した」と言う街の原点、スピリットを大切に、知恵と工夫で新しい時代を切り開く気風やチャレンジ精神を街にもう一度蘇らせようとしている。
国家間の競争の根源は、主要な都市や地域がグローバルな市場の中で如何に自立し発展するかに懸かっており、「街づくり」の視点にたった日本の都市再生が必須である。かっての日本のように、財である不動産が下がり続ける「不動産デフレ」の国は先進国の何処にもない。
街を再生して不動産を有効活用して付加価値を付け、キャッシュフローを増して魅力ある投資対象に仕立て上げて、不動産証券化により出資者に提供する。
コーポレート・ファイナンス事業以外に、不動産所有者に有効活用のコンサルティング、投資機会紹介等のサービス及びソリューションを提供するマネジメント事業も行っている。
しかし、まずは、不動産に対する懲罰的な税制を改めて欲しい。」
私が、20年ほど前にイギリスに出かけて、不動産開発に目を開かれたのは、まず、収益還元法による土地の評価である。
土地を入札する時に、建設する建物がどれだけの収益を生むのかをまず計算して、逆算しながら土地価格を決めることで、勿論、土地評価専門のチャータード・サーベイヤーの助言を仰ぎながら予測する。
日本は土地価格は上昇するものと誰も信じて疑わなかったので、収益など二の次で土地代が決まっていたが、不動産投資も他の金融や株等と同列の投資だと考える欧米では、リターンの利回りが幾らなのかが重要なのである。
もう一つビックリしたのは、不動産の時価会計で、チャータード・サーベイヤーの評価によって不動産の価値を評価し直し、財務諸表に反映させた決算を行わねばならないことであった。
今では、前述の収益還元法も時価会計も日本では当たり前になっているが、ある意味では、革命的な変化である。
不動産証券化もやはり新しい動きだが、元々会社の資産・不動産も株式によって流動資産化しているし、不動産も収益を生むのなら証券化して流動化するのは当然で、資本主義の必然であろう。
大規模なショッピングセンターの開発なども投資ファンドの対象となって活況を呈している。ダイエーの轍を踏まなくて済むけれど、自前の土地建物であれば質屋のように上限押さえが利くが、箍が外れて株との相乗効果で再びインフレになるとどうなるのであろうか。
ところで、日本橋開発のように不動産会社が企業の社会的責任を重視して開発を始めていることは重要なことで、特に、日本の場合は、建築基準法等法律の要件を満足させておればどんな建物でも建てられることで、都市の美観維持の意識が希薄なことである。
これも、イギリスで経験したことだが、世界の大都会と比べて建物に整合性と統一性の希薄なロンドンでさえ、周りの環境を顧慮し外観に十分留意した設計でないと開発許可の取得は難しい。
兎に角、旧市街に比較して世界の大都会の新開発地域は美観的に劣るが、東京の都市景観は特にひどい。
個々の建物のデザインには注意を払わない日本であればあるほど、秩序と良識のある都市再生プランによる都市開発が必須であろう。
あの日本橋の上を跨ぐ高速道路など、日本の都市再生と美意識を問われる最大の汚点であると思っている。
「21世紀に日本橋を再生させ輝きと活力に溢れた街にする目標を掲げ、地元町内会、地元企業、行政と一体となって「日本橋地域ルネッサンス100年計画委員会」を作った。
日本橋らしい歴史・文化・伝統を大切に、そして、「日本橋から日本の経済が飛躍し、発展した」と言う街の原点、スピリットを大切に、知恵と工夫で新しい時代を切り開く気風やチャレンジ精神を街にもう一度蘇らせようとしている。
国家間の競争の根源は、主要な都市や地域がグローバルな市場の中で如何に自立し発展するかに懸かっており、「街づくり」の視点にたった日本の都市再生が必須である。かっての日本のように、財である不動産が下がり続ける「不動産デフレ」の国は先進国の何処にもない。
街を再生して不動産を有効活用して付加価値を付け、キャッシュフローを増して魅力ある投資対象に仕立て上げて、不動産証券化により出資者に提供する。
コーポレート・ファイナンス事業以外に、不動産所有者に有効活用のコンサルティング、投資機会紹介等のサービス及びソリューションを提供するマネジメント事業も行っている。
しかし、まずは、不動産に対する懲罰的な税制を改めて欲しい。」
私が、20年ほど前にイギリスに出かけて、不動産開発に目を開かれたのは、まず、収益還元法による土地の評価である。
土地を入札する時に、建設する建物がどれだけの収益を生むのかをまず計算して、逆算しながら土地価格を決めることで、勿論、土地評価専門のチャータード・サーベイヤーの助言を仰ぎながら予測する。
日本は土地価格は上昇するものと誰も信じて疑わなかったので、収益など二の次で土地代が決まっていたが、不動産投資も他の金融や株等と同列の投資だと考える欧米では、リターンの利回りが幾らなのかが重要なのである。
もう一つビックリしたのは、不動産の時価会計で、チャータード・サーベイヤーの評価によって不動産の価値を評価し直し、財務諸表に反映させた決算を行わねばならないことであった。
今では、前述の収益還元法も時価会計も日本では当たり前になっているが、ある意味では、革命的な変化である。
不動産証券化もやはり新しい動きだが、元々会社の資産・不動産も株式によって流動資産化しているし、不動産も収益を生むのなら証券化して流動化するのは当然で、資本主義の必然であろう。
大規模なショッピングセンターの開発なども投資ファンドの対象となって活況を呈している。ダイエーの轍を踏まなくて済むけれど、自前の土地建物であれば質屋のように上限押さえが利くが、箍が外れて株との相乗効果で再びインフレになるとどうなるのであろうか。
ところで、日本橋開発のように不動産会社が企業の社会的責任を重視して開発を始めていることは重要なことで、特に、日本の場合は、建築基準法等法律の要件を満足させておればどんな建物でも建てられることで、都市の美観維持の意識が希薄なことである。
これも、イギリスで経験したことだが、世界の大都会と比べて建物に整合性と統一性の希薄なロンドンでさえ、周りの環境を顧慮し外観に十分留意した設計でないと開発許可の取得は難しい。
兎に角、旧市街に比較して世界の大都会の新開発地域は美観的に劣るが、東京の都市景観は特にひどい。
個々の建物のデザインには注意を払わない日本であればあるほど、秩序と良識のある都市再生プランによる都市開発が必須であろう。
あの日本橋の上を跨ぐ高速道路など、日本の都市再生と美意識を問われる最大の汚点であると思っている。