熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

ベトナム椿ハイドウンキング・・・蕾が優雅で

2005年12月24日 | 花鳥風月・日本の文化風物・日本の旅紀行
   私は色々な椿を栽培しているのだが、このベトナム産の椿ハイドウンキングだけは、鉢を室内に取り入れている。
   この椿は、ベトナム・グエン王家の庭園で大切に育てられてきた椿だと言うが、椿原種分布の南限である。
   最低でも5度の温度がなければ育たないようなので、時には室内でもダメかもしれないが、とにかく、優雅で美しい赤い蕾を一つだけつけているので、これを是非咲かせてやりたいと思っている。

   咲いた花の写真を見ると、厚手の受け咲きの花容なので、黒椿のナイトライダーやブラックオパールに一寸似ている感じである。
   今付いている蕾の先は、少し白い帯が付いている様で、玉之浦に似ている。
   葉が日本椿とは全く違っていて、びわの葉に近い。
   しかし、枝先の方の葉は、ピンクがかった明るい色をしていて観葉植物のように美しくて、室内において鑑賞するのには丁度良い。

   何時もなら咲いている椿が今年は殆ど咲かなくて、毎年、年賀状に庭に咲いた椿の花の写真を使っているのだが、今年は、上野の寒牡丹に変えた。
   春に咲く椿は、美しく咲くが、真冬に咲く椿は、寒さや寒風にやられて花弁が痛んでしまって可愛そうである。
   蕾が膨らみ始めると、室内に取り入れるようにしているのだが、庭植えの大きな木の花は、そのまま、寒さに震えている。

   安達曈子さんの本「椿しらべ」に、冬の椿について面白い話が書かれている。
   少女時代に、庭の手水鉢に散椿を浮かべる役目を師匠の父から仰せつかっていて、ある日、大切なお客と聞いたので、紅侘助椿を一枝浮かべようとしたが、上手く行かないので花が見えるように葉を切り落として浮かべた。
   「これは2月の椿ではない。」といたく叱られたと言う。
   冬の椿は花を寒さから守る為に、”霜よけ葉”が花を覆って守っているのである。
   それを邪魔だからと言って除くと、裸で木枯らしの中にいるような冷え冷えと不自然な姿になる、自然界の叡智を教えられたと言う。
   そう言われれば、確かに、真冬の椿の花は、葉に隠れている。
   良く雪をかぶった椿の凛とした花の写真を見ることがあるが、これは、春に咲いた花に雪が降った偶然の写真か、或いは、やらせかもしれないと変に気をまわしてしまう。

   真冬に咲く椿は、もう少し待てばよいのにと思うのだが、咲く時期を違えずに花を開いて霜や木枯らしに痛めつけられている。
   しかし、どんなに痛めつけられて花弁が無残に滲もうとも厳しい自然に抗して凛と咲いていて、その美しさにビックリすることがある。
   
コメント
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