久しぶりに、面白いミュージカルを見た。
彗星のように現れてトニー賞2部門を取ったブロードウエイ・ミュージカル「スペリング・ビー」(翻訳演出:寺崎秀臣)で、主題は、1825年から続いていて、各地の予選を経てワシントンで全国大会が開かれると言う14歳以下の子供たちが出場できる「スペリング・ビー」(スペリング、すなわち、英単語の綴り当て競技)で、極めてシンプルなのだが、言葉のやり取りの面白さに加えて、夫々の子供たちが複雑な背景を背負って登場するので、一途な子供たちの奮闘が面白い。
登場人物は、挑戦者の子供6人と、司会者と出題者などの大人3人なのだが、公演当日の開演間際に、客席の希望者から選ばれた3~4人の素人が登場し6人の子供たちと一緒にゲームに参加して演技すると言うハプニングが加わる。
舞台は、プットナム郡の予選大会で、地元の不動産業者であるロナ・リサ・ペレッティ(安寿ミラ)が司会者、中学の副校長ダグラス・パンチ(村井国夫)が出題者、そして、子供たちの介添え役で残念賞を手渡すカウンセラー役ミッチ・マホーニー(今井清隆)の3人の大人が登場する。
出題者から問題の単語が提示されれば、その言葉の意味、語源、例文などを質問することが出来るのだが、途中で一字でもスペルを間違うと鐘がなって退場となる。
とにかく、日本のクイズ番組と同じだから、聞いたこともないとか、辞書に載っていないと言った難しい言葉も出てきて大変な難関である。
ところで、素人の女の子には、カブキ、シュワルツネッカー、CDなどと言った単語が出ていたが、毎日、同じ単語のようなので、村井国夫が後で言わないで欲しいと語っていた。
子供を演じる役者だが、足で綴りながら回答する魔法の足を持つ優勝者のウイリアム・バーフェイの吉本の藤井隆、家庭崩壊で辞書だけが友だと言う孤独な少女で母がインドに居ると言う準優勝のオリーブ・オストルフスキーをミュージカルで活躍している新妻聖子が演じるなど、他に、梶尾善、高田聖子、板元健児、風花舞と言った劇団でキャリアを積んでいる役者や宝塚の出身者と言った芸達者が登場していて、コミカルタッチで、リズム感とスピードのある素晴らしい舞台を展開していて面白い。
最も年少の7歳で三つ編みのおませなローゲン・シュワージーを演じた高田聖子など、ちゃっかりウイキペディアを引用して自己宣伝までやってのけるし、六ヶ国語を話せると言うマーシー・パークの風花舞などピアニストを押し退けて弾き語りをして、机を割る大立ち回りまで演じる。コミカル系でオーバー・アクションの梶尾善や、真っ先にとちって退場する前回優勝者の板元健児も個性的な演技が上手い。
私は、安寿ミラを見に行ったようなものなのだが、やはり、実にチャーミングで華のある女優で、もう少し、まともなアリア調の歌声を聴きたかったのだが、しかし、しょぼくれた冴えない実直な中年男役を好演した村井国夫との相性が抜群で、結構良い味を出していて中々よかった。
この二人、アフター・トークショーで、流石に舞台数を踏んだ役者として、面白い話をしていた。
ミッチー・マホーニーの今井清隆は、キャリアを積んだミュージカル歌手であるから一番本格的な歌声を聞かせてくれたと思う。
4人の素人の女の子だが、全く物怖じせずに堂々と演じていたのには、現代っ子の爽やかさを見た感じで興味深かった。
さて、このSPELLING BEEだが、今では、アメリカ以外に、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、インドネシアなどで全国大会が開催されているようである。
しかし、恐らく、総て子供は平等でなければならず、競争させて順位をつけるなどもっての外だとする日本の教育風土(文部科学省の役人見解なのか日教組の考え方なのかは知らないが)では、絶対行われないゲームではないかと思う。
youTubeを見れば、spelling beeの動画が随分出てくるし、たった、二人の大人が、大きな辞書と悪戦苦闘しながら司会進行している場末の大会から、満場の聴衆を集めた華麗な大劇場で開催されている全国大会まで千差万別だが、完全にショー化してしまっているのである。
じゅげむじゅげむではないが、昔、スコットランドを旅した時に、世界一長い名前を持つ町に入った時に、実際に、ローマ字の綴りが延々と書き連ねられた看板を見たことがある。
確か、20字や30字などではなく、もっと長くて、大きな建物の端から端までつながっていたと思うのだが、どうも、スペリング・ビーの方は、スペルの長さではなく、言葉の難しさにあるような感じがする。
昔からタイプライターの国であり、その上に、ワープロからインターネットになって更に便利になり、今日では、綴りを間違っても瞬時にPCが訂正してくれる便利さに慣れてしまっている筈なので、問題を起こした漢字検定ではないが、余程、勉強して頑張らないと、spelling beeで勝つのは難しいであろう。
観客の大半は、若い女性たちで、私のような年かさの男性客などは殆ど居なかったが、久しぶりに、ブロードウェイやウエストエンドの雰囲気を味わいたいと思って出かけて、まずまずの正解であった。
尤も、同じミュージカルでも、レ・ミゼラブルやマイ・フェア・レディもあれば、オー・カルカッタやオペラ座の怪人、キャッツもあり、このミュージカルは至って変わったジャンルだが、オフ・ブロードウェイ、乃至、オフ・オフ・ブロードウェイに近いかも知れない。
この天王洲アイルにある銀河劇場だが、イギリスなどのシェイクスピア劇が演じられている劇場に似たこじんまりした雰囲気で、中々素晴らしいと思っている。(但し、いすのクッションが、極端に悪いのが気になる。)
彗星のように現れてトニー賞2部門を取ったブロードウエイ・ミュージカル「スペリング・ビー」(翻訳演出:寺崎秀臣)で、主題は、1825年から続いていて、各地の予選を経てワシントンで全国大会が開かれると言う14歳以下の子供たちが出場できる「スペリング・ビー」(スペリング、すなわち、英単語の綴り当て競技)で、極めてシンプルなのだが、言葉のやり取りの面白さに加えて、夫々の子供たちが複雑な背景を背負って登場するので、一途な子供たちの奮闘が面白い。
登場人物は、挑戦者の子供6人と、司会者と出題者などの大人3人なのだが、公演当日の開演間際に、客席の希望者から選ばれた3~4人の素人が登場し6人の子供たちと一緒にゲームに参加して演技すると言うハプニングが加わる。
舞台は、プットナム郡の予選大会で、地元の不動産業者であるロナ・リサ・ペレッティ(安寿ミラ)が司会者、中学の副校長ダグラス・パンチ(村井国夫)が出題者、そして、子供たちの介添え役で残念賞を手渡すカウンセラー役ミッチ・マホーニー(今井清隆)の3人の大人が登場する。
出題者から問題の単語が提示されれば、その言葉の意味、語源、例文などを質問することが出来るのだが、途中で一字でもスペルを間違うと鐘がなって退場となる。
とにかく、日本のクイズ番組と同じだから、聞いたこともないとか、辞書に載っていないと言った難しい言葉も出てきて大変な難関である。
ところで、素人の女の子には、カブキ、シュワルツネッカー、CDなどと言った単語が出ていたが、毎日、同じ単語のようなので、村井国夫が後で言わないで欲しいと語っていた。
子供を演じる役者だが、足で綴りながら回答する魔法の足を持つ優勝者のウイリアム・バーフェイの吉本の藤井隆、家庭崩壊で辞書だけが友だと言う孤独な少女で母がインドに居ると言う準優勝のオリーブ・オストルフスキーをミュージカルで活躍している新妻聖子が演じるなど、他に、梶尾善、高田聖子、板元健児、風花舞と言った劇団でキャリアを積んでいる役者や宝塚の出身者と言った芸達者が登場していて、コミカルタッチで、リズム感とスピードのある素晴らしい舞台を展開していて面白い。
最も年少の7歳で三つ編みのおませなローゲン・シュワージーを演じた高田聖子など、ちゃっかりウイキペディアを引用して自己宣伝までやってのけるし、六ヶ国語を話せると言うマーシー・パークの風花舞などピアニストを押し退けて弾き語りをして、机を割る大立ち回りまで演じる。コミカル系でオーバー・アクションの梶尾善や、真っ先にとちって退場する前回優勝者の板元健児も個性的な演技が上手い。
私は、安寿ミラを見に行ったようなものなのだが、やはり、実にチャーミングで華のある女優で、もう少し、まともなアリア調の歌声を聴きたかったのだが、しかし、しょぼくれた冴えない実直な中年男役を好演した村井国夫との相性が抜群で、結構良い味を出していて中々よかった。
この二人、アフター・トークショーで、流石に舞台数を踏んだ役者として、面白い話をしていた。
ミッチー・マホーニーの今井清隆は、キャリアを積んだミュージカル歌手であるから一番本格的な歌声を聞かせてくれたと思う。
4人の素人の女の子だが、全く物怖じせずに堂々と演じていたのには、現代っ子の爽やかさを見た感じで興味深かった。
さて、このSPELLING BEEだが、今では、アメリカ以外に、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、インドネシアなどで全国大会が開催されているようである。
しかし、恐らく、総て子供は平等でなければならず、競争させて順位をつけるなどもっての外だとする日本の教育風土(文部科学省の役人見解なのか日教組の考え方なのかは知らないが)では、絶対行われないゲームではないかと思う。
youTubeを見れば、spelling beeの動画が随分出てくるし、たった、二人の大人が、大きな辞書と悪戦苦闘しながら司会進行している場末の大会から、満場の聴衆を集めた華麗な大劇場で開催されている全国大会まで千差万別だが、完全にショー化してしまっているのである。
じゅげむじゅげむではないが、昔、スコットランドを旅した時に、世界一長い名前を持つ町に入った時に、実際に、ローマ字の綴りが延々と書き連ねられた看板を見たことがある。
確か、20字や30字などではなく、もっと長くて、大きな建物の端から端までつながっていたと思うのだが、どうも、スペリング・ビーの方は、スペルの長さではなく、言葉の難しさにあるような感じがする。
昔からタイプライターの国であり、その上に、ワープロからインターネットになって更に便利になり、今日では、綴りを間違っても瞬時にPCが訂正してくれる便利さに慣れてしまっている筈なので、問題を起こした漢字検定ではないが、余程、勉強して頑張らないと、spelling beeで勝つのは難しいであろう。
観客の大半は、若い女性たちで、私のような年かさの男性客などは殆ど居なかったが、久しぶりに、ブロードウェイやウエストエンドの雰囲気を味わいたいと思って出かけて、まずまずの正解であった。
尤も、同じミュージカルでも、レ・ミゼラブルやマイ・フェア・レディもあれば、オー・カルカッタやオペラ座の怪人、キャッツもあり、このミュージカルは至って変わったジャンルだが、オフ・ブロードウェイ、乃至、オフ・オフ・ブロードウェイに近いかも知れない。
この天王洲アイルにある銀河劇場だが、イギリスなどのシェイクスピア劇が演じられている劇場に似たこじんまりした雰囲気で、中々素晴らしいと思っている。(但し、いすのクッションが、極端に悪いのが気になる。)