熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

NHK朝ドラ:異国情緒の魅力

2014年10月01日 | 生活随想・趣味
   赤毛のアンの翻訳者村岡花子の生涯をドラマ化したNHKの朝ドラ「花子とアン」が人気が高くて、高視聴率を達成したと言う。
   私も、途中で見始めたのだが、どんどん引き込まれて、最後には、一回も欠かさずに見た。

   今週からは、新しい朝ドラ「マッサン」が、始まった。
   ニッカウヰスキーの創業者竹鶴政孝とその妻竹鶴リタ(ジェシー・ロバータ・カウン)の国産ウィスキーに賭けた波乱万丈のものがたりということで、前評判も、中々良いと言う。

   私は、小京都と言われている非常に綺麗な竹原市に残る竹鶴政孝の生家・小笹屋(竹鶴酒造)を訪れたことがある。
   竹鶴は、製造工場はスコットランドに似た風土の北海道に作るべきだと考えていたので、独立後、北海道余市町でウイスキー製造を開始したのだが、今でも、その綺麗なニッカウヰスキー生誕の地である「余市蒸溜所」があって、観光客を魅了し続けている。
   私も一度だけ訪れたのだが、中々、雰囲気があって、楽しいところである。

   イギリスに居た時、1週間ほど車でスコットランドを旅した時に、当然、スコッチ・ウィスキーの工場や博物館に行ったのだが、あの時には、もっともっと古い昔の家内工場風の蒸留所の雰囲気で、感激したのを覚えている。
   あの産業革命を起こしたブラック・カントリーでもそうだが、イギリスでは、あっちこっちで、古い産業遺産を文化財として大切に保存しており、頭が下がる思いであった。
   イギリスには、19世紀に設立されたナショナル・トラスト (National Trust) と言う歴史的建築物の保護を目的として設立されたボランティア団体があって、積極的に活動しており、その意味では、文化先進国である。
   尤も、大英帝国は、七つの海を支配した世界制覇の過程で、随分、重要な人類遺産を破壊し続けた元凶でもあるので、単なる懐古趣味だけではなく、贖罪の気持ちからかも知れないと、穿って考えることもある。

   余談が、長くなってしまったが、何かの記事で、「花子とアン」の人気が高いのは、ディズニー映画の「アナと雪の女王」にストーリーや構成が似ているからだと評論しているのを読んだことがあるが、そうかも知れない。
   しかし、私は、あの朝ドラを見ていて、カナダ宣教師の「ミッションスクール・修和女学校」でのブラックバーン校長やスコット先生との関わりや、第二次世界大戦で垣間見える欧米の影、それに、欧米化しつつあった日本の大正文化の姿などを通して見え隠れする異国の香り、そして、何よりも、重要なのは、カナダの作家L・M・モンゴメリの『赤毛のアン Anne of Green Gables)』が主題として醸し出す欧米文化なり生活の匂いが、何となく、視聴者の感興を呼んだのではないかと思っている。

   貧しい境遇から艱難辛苦を乗り越えての成功物語でも、「おしん」のように、純日本風の物語ではなくて、時代の潮流の変化で、異国情緒、それも、何となく、文化の香りがする隠し味を加えたようなストーリーが、好まれるような雰囲気になってきたのではなかろうか。
   それに、19世紀末から戦後までの、団塊の世代の半世紀も前の日本の姿を追っ駆けた異文化異文明との遭遇と言ったような異次元の日本を活写することによって、それでも、やっぱり同じ日本なんだと感じさせる、二重写しのストーリーが、大いに興味をそそったのだと思っている。

   今度の「マッサン」は、冒頭からスコットランドの絵のような風景が出て来て、スコットランド人(実際には、シャーロット・ケイト・フォックスは米国女優)の亀山エリーが、主人公の一人であるから、随所に、異国情調、そして、日英との異文化遭遇とカルチャーショックが現出されるのであるから、その点では、「花子とアン」の比ではなく、もっと、欧米文化の露出度は高い。

   私がいた頃でも、本場である筈のイギリスのホテルやレストランで、日本製のウィスキーが並んでいて、既に国際品であったのだが、やはり、酒の国、最高峰の醸造技術の日本故に成し得た快挙なのである。
   その波乱万丈の世界が、日本で最も喜怒哀楽の激しくて感情豊かなラテン系文化に近いと言われている大阪を舞台に展開されるのであるから、日本人の心を掴まない筈がないと思っている。
   スコットランド、竹原、大阪、余市、夫々、非常に魅力的なところを舞台にして、泣き笑いの起伏に富んだ異文化の遭遇するストーリーが、どのように展開されて行くのか、楽しみである。
コメント
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