地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

さよなら、鶴臨の残党・静鉄クモハ20!

2007-03-19 18:37:23 | 事業用車両


 先日当ブログでも、3月18日限りで解体されるという悲しい報せをお伝えした静鉄クモハ20。多忙な中、果たして行けるかどうか気をもんでいたのですが、「やはり最終日をみすみす逃すと死ぬまで後悔するに違いない、たまった仕事は気分をスッキリさせて挽回しよう!」と思いまして、2日前に乗ったばかりの東海道線で再び西に向かいました。
 実は、2日前にも富士駅で撮り鉄の前に長沼車庫を訪れているのですが、何とクモハ20は展示位置の9番線ではなく、庫内作業の都合から、奥まった非常に撮りにくい位置でパンタを畳んで留置されていました (電話予約は不要で、事務所を直接訪れて記帳すれば良いというネット情報を当てにしたのが裏目に。やはり平日は作業の可能性を考慮して、電話を1本入れるべきでした。そこで改めて静鉄に電話したところ、18日は終日展示しているので事務所をまず訪れられたしとのこと!)。というわけで、何が何でもリベンジです。
 東海道線を草薙で下車し、静鉄に乗って長沼に向かいますと (東静岡からも歩いてすぐですが、やはりここは乗らないと ^_^)、パンタを上げたクモハ20の姿が! さっそく記帳を済ませ、撮影モードに入りました (*^O^*)。



 私が長沼車庫を訪れた午前10時から11時過ぎにかけての時間は、青空に雲が浮かぶ素晴らしい天気で、しかも10時半過ぎからちょうど良い順光となりましたが、たまに雲が太陽を隠し、その間は影を一切気にする必要もなく……二つの表情を同時に思う存分撮影出来るという、まさに絶好の条件に恵まれました。撮影会場の人数も、琴電仏生山撮影会をさらに小規模にしたと感じで、譲り合いながらじっくりと撮影できたのが良かったです。多少無理をしてでも訪れて本当に正解でした!
 当のクモハ20はすでに荒廃を極め、一部の屋根が抜け落ちてしまっているという痛々しさでしたが、それでもパンタをしっかりと振りかざし、77年の歳月を刻んだ堂々とした姿で鎮座していました。鶴見臨港鉄道→国鉄鶴見線で戦前・戦中の激しいラッシュ輸送を支え、可部線では太田川の水面にその姿を映し、静鉄では富士を望みながら清水〜静岡の便利な足に徹し、そしてついに工場内の入換車として天寿を全うしようとしている……。その、余りにも地味で流転に満ちながらも、質実剛健で長寿な一生は、鉄道車両多しといえどもそう簡単に真似できるものではありません。
 またひとつ、こうして終わりゆく買収国電の時代に、献杯……。