地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

東芝府中専用線に佇むクモニ83とクハ103

2010-04-03 00:14:00 | 事業用車両


 先日、かねてから関心が高まっていた (?) DE10の後継機・HD300が東芝府中工場から甲種輸送されたようですが、その東芝府中工場は各種の試験用として (?) 複数の電車を所蔵しているといわれます。その最も代表的な存在は、派手派手なイラストが描かれた103系2連であり (クモハ103は1M化?)、ネット上でもごく稀に武蔵野線脇の専用線に出てきたシーンがアップされているのを見かけるところですが、通常は門の奥の敷地内にあって容易にその姿を伺い知ることは出来ません。滅多に話題とならないところを勘案しますと、ふだん武蔵野線を利用しているファンでも容易に目撃できないほどの秘仏的存在なのだろう……地元民でなければ拝むのはまずムリか……と思っていたのでした。
 しかし先日、ネット上でかれこれ9年にわたりお世話になっております「165系アルプス」さんより、重大な情報をお送り頂きました! 何と……「ここ数日来クモニ83が表に出てきており、いつ再び見られなくなるか分からないのでお早めに」とのこと……!! そして、第2報として頂いた画像から、極めて撮りやすい位置に留置されていることが判明してさらにびっくり! そこで「恐らく、HD300の新造に伴うあれやこれやの都合上、構内の線路を空けておくために電車を外に出したのだろうか」ということが瞬時に脳裏をよぎり、「これはHD300の甲種輸送が終わってしまったら奥に引っ込んでしまうのかも知れない……。緊急を要するなぁ」と思いまして、何とか時間を見つけて北府中を訪れてみました。



 府中本町から一駅、束の間のVVVF205系サウンドを賞味して北府中にて下車したところ……ををっ! 本当に湘南色を纏ったクモニ83がいる……!! しかも色がすっかり褪せた派手派手103系を伴って!! そこで、思わず小走りで線路沿いを歩いて2両の脇に行き、いよいよクモニ83の懐かしい御姿が目の前に!
 嗚呼……半鋼製釣掛式電車が幹線系で壊滅した1970年代末以来、国鉄での郵便・手小荷物輸送体系が崩壊するまでの間、113系や115系の普通列車の先頭に立って力強く釣掛の雄叫びを上げていたクモユニ74やクモニ83の勇姿よ! 当時はそれがまだ余りにも当たり前すぎたこと、そして僅かな小遣いで買ったフィルムを私鉄釣掛式電車に注いでいたことから、個人的にこれら郵便・荷物電車を撮影した記録は残念ながら一枚もないのですが (苦笑)、目を閉じれば今も……荷物用エレベーターや通路を備えた大きな駅で荷扱いをしていた繁華な光景が……。
 そんなクモニ83の貴重な生き残りとして、最近までは鉄道総研に青く塗られたクモニ83006が現存していたことが知られていましたが、私が平兵衛まつりに行くたびにクモニ83は展示されず……いつしか消えたとのことで落胆しておりました。いつの間にか湘南色に塗り直され(オレンジの色調がちょっと明るめですが ^^;)、僅かな距離を陸送されて東芝府中に安住の地を見出していたとは! (望遠ズームを使って表記を見てみたところ、H20年8月のことだったようです) 
 う~ん、眺めれば眺めるほど、切妻グロベンの湘南色の車体、そしてDT13台車など……(今や現存するDT13装備車ってどのくらいあるのでしょうか?!)、惚れ惚れします (*^^*)。そして相棒のクハ103……すっかり塗装は剥げまくり、荒廃の一途をたどっているようですが (T_T)、首都圏に残る最後の103系としてこれほど貴重な車両も珍しいでしょう。
 この2両はもちろん黙して何も語りませんでしたが、私の脳裏には1970~80年代のまだまだ熱かった国鉄シーンがほとばしり、心地よい懐旧の念に浸ることが出来ました。しかも「165系アルプス」さんによりますと、2両は先週末には既に工場内に戻されてしまったとのこと。滅多になく余りにも貴重な機会を得られたのは何よりのことでした……。まずは、緊急情報をお送り頂いた165系アルプスさんに心よりお礼申し上げます!! m(_ _)m