トンブリー駅にて魅惑のスイッチャーによる入換が行われる一方、本務機としてクラの中から出て来たのがこちら、結構古典的な(?)デザインが魅力的なGE製の電気式DL・4001型です。この罐は一応、タイ国鉄の本線用機関車としては最古参の部類に入り、しかもシンプルな旧塗装で残る個体も少なくなく見かけることから、恐らく近い将来登場する中国製新型罐(たぶん北車大連か南車資陽製?)によって置き換えられる可能性が大だと思われますが、この日の牽引機である4005は新塗装となりピカピカであることから、このグループの中でも最後まで残るのでしょうか。そう考えますと、このハデな新塗装でも喜ぶべきなのでしょうか……。ともあれ、使用停止となった腕木式信号機との組み合わせも、将来的にはそこそこ貴重になると思われますので、とりあえず1枚!
その後は無事に、前から2両目の日本製・半鋼製ボックスシート車の座席をゲットしまして、とにかく白人観光客と地元客で座席が埋まる光景に仰天しつつ、いよいよ7時50分に発車……と思いきや、7時30分発のランスアン行となるべき編成(ランスアン発の快速列車)が未だ到着せず、しかも直近の交換駅であるタリンチャン・ジャンクションからこちらに到着するのを優先させるため(逆にこちらが先発すれば、7時半発の列車は恐らく車内整備を経て9時半以降発となってしまうことでしょう)、結局8時15分頃まで待たされてようやく発車……(幸先悪ぃ~。鬱)。というわけで、ランスアン行に乗るはずであったタイ人客もことごとくナムトク行に乗せるかたちとなり、ナコーンパトムまではほぼ全席埋まりまくり。ナコーンパトムで大幅に乗降があったあとも、基本的にカンチャナブリーに着くまでは、タイ人・外国人がそれぞれ半々程度な車内が続きました。タリンチャンからナコーンパトムまでは、非常に立派な複線を滑るように走り快適ですが、ナコーンパトムから先の単線では例によって優等列車優先で待たされ、さらにノーンプラドック・ジャンクションから泰緬鉄道=ナムトク線に入りますと、線路状態が格段に悪くなりガタガタと揺れながらの走りとなりました。ミャンマー国鉄の幹線急行と比べればはるかにマシな乗り心地ですが……。
そんな中、ノーンプラドックからは車内販売のオバチャンが数人乗り込んで来まして、笹の葉で包んだミニ弁当(タイ風タレの鳥めし)や魚肉つくねの類を売りに来ます。一応昼食用にパンを持参しておりましたが、試しに買ってみるとこれがなかなか美味い♪ 但し、10バーツで小腹を満たすという程度のものですので、車内販売で腹一杯になろうと思ったら何度でも呼び止める必要があるでしょう (笑)。
こんな感じで何となく腹の中が潤ったあとは、ボックスシートの自分の席を完全に放棄しまして、荷物ごと最前部の車両(1949年・日本製のロングシート改造車)のデッキに移動し、罐が発するディーゼル発電機の轟音の中にほんのりと混ざる釣掛サウンドを楽しみつつ、デッキのドアを開け放って全身を田舎の風景の中にさらしたのでした。そして列車は、約40分遅れでカンチャナブリーに到着~! 罐は一旦切り離され、団体用の特別車を迎えに行ってしまいました。そして私は入換の一部始終を撮った後、引き続き1949年製ロングシート車のデッキを死守する体制に入ったのでした。その理由は……つづく (笑)。