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ミステリ感想-『404 Not Found』法条遙

2013年08月03日 | ミステリ感想
~あらすじ~
死ぬべきだ。いや、死ぬしかない。放課後、俺はビルの屋上から身を躍らせた。眼前に迫る冷たいアスファルト。意識が遠のく。
だが、目が覚めると自室のベッドの上。時間は今朝。時間が巻き戻った!?
繰り返されるリセットの謎に苦悩し、ついに俺は知る。世界の向こう側にある、峻烈な真実を。

~感想~
コレジャナイロボ参号機。
破格のデビュー作「バイロケーション」以降、いわゆるSFミステリの系譜に連なる作品を出しているが、読後感は3作続けてコレジャナイ感が激しい。
ネタバレを避けるため明言できないのがもどかしいが、こういった仕掛けならばいっそのこと最初から仕掛けを明らかにしていたほうが面白い作品となっただろう。その場合ミステリからはかけ離れてしまうが。
しかし一言で表現できるような仕掛けでありながら、中二病気味というかオカリン気味(でも賢い)の主人公がのたまう科学用語さながらに話が入り組んでしまい、無駄に煩雑。
「バイロケーション」もややこしい設定ではあるが、その中でギリギリの綱渡りを続けていた妙味があった。しかし今作は単純な設定にややこしい説明を費やし、それでいて膝を打たせるような大仕掛けも綱渡りも無かったのが残念だ。
だが角川ホラー文庫、早川書房、講談社ノベルスと次々レーベルを変えながら、それぞれのイメージに合った特色を出す器用さは持ち合わせているので、一発屋に終わらず、第二の西澤保彦(前期)になれる力はあると信じたい。下品さは結構近づいてきたぞ。


13.7.9
評価:★★☆ 5
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