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ミステリ感想-『探偵が早すぎる 上』井上真偽

2017年08月05日 | ミステリ感想
~あらすじ~
大富豪の隠し子だった父が亡くなり、5兆円を相続した女子高生の十川一華。
父の兄弟姉妹は財産を奪うため、一華を事故・自殺に見せかけ殺した者が遺産を総取りする密約を交わす。
一華の付き人の橋田はそれに対抗するため、あらゆる事件を未然に防ぐという都市伝説のような探偵に護衛を依頼した。


~感想~
プロの車上荒らしSUGEEEEEEEEE!!!!!

探偵があらゆるトリックをあらかじめ見抜いているという無茶な設定が話題を呼んだ「その可能性はすでに考えた」シリーズで一躍名を知られた作者が、ラノベ向きにより賑やかでわかりやすい物語に仕上げた。
「そのかのシリーズ」と設定的にわりとかぶっているものの、差別化は図られており、探偵がいかにして事件前にトリックを見抜き、それを防いだかという興味で最後まで牽引する。

しかし読了後に最も印象に残るのは、早すぎる探偵よりもすごすぎる車上荒らしではなかろうか。
なんせ(ネタバレ→)三人が乗っている乗用車に気付かれることなく侵入し、その目の前に爆弾と通信機を設置しているのだ。え? 車上荒らしってそういうものだったっけ。もはや車上荒らしというレベルを超えており、なんらかのスタンド能力にしか思えない。さすがプロだ。ちがうなあ…。

ともあれ「そのかの」とは別方向から攻める、やりすぎ探偵の活躍と下巻の展開が楽しみである。


17.8.1
評価:保留
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