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ミステリ感想-『ドローン探偵と世界の終わりの館』早坂吝

2017年08月15日 | ミステリ感想
~あらすじ~
数機のドローンを自在に操り「ドローン探偵」の異名を取る飛鷹六騎。
良き理解者である大学の探検部の面々とともに、主を失い廃墟となった北欧神話を模した館ヴァルハラへ出掛ける。
しかし嵐に襲われ出られなくなり、さらに面々が内に秘めていた思惑から惨劇が始まる。


~感想~
デビュー作「○○○○○○○○殺人事件」では読者への挑戦として、犯人当てならぬタイトル当てを出した作者だが、本作は冒頭でトリック当てを挑んできた。
作風もそのデビュー作に近く、ありがちな嵐の山荘での連続殺人事件が、北欧神話を味付けにゆるめに描かれ、あっさり解決に流れていく。
そして到底21世紀の本格ミステリとは思えないほどしょぼい犯人特定の推理を経て明かされるのは、全てを引っくり返すバカミス的な大仕掛け。言われてみればあちこちにあった不自然な描写の数々がまとめて砕け散り、同時に全ての謎が紐解けて行くのはデビュー作さながら。
ただの意匠に見えた北欧神話も、終わってみれば物語と事件を一点に収斂させて行く欠かせぬ要素に一変しと、真相開示とともに何もかもが反転し好転する、読者への挑戦に恥じない素晴らしいトリックである。

それにしても「綺麗な(?)○○○○○○○○殺人事件(C)麻里邑さん」とは言い得て妙すぎるww


17.8.14
評価:★★★☆ 7
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