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ミステリ感想-『探偵が早すぎる 下』井上真偽

2017年08月08日 | ミステリ感想
~あらすじ~
数人の刺客を退けた伝説の「トリック返し」の探偵に守られ、四十九日の法要を迎えた十川一華。
焼香・納骨・精進落しの隙を狙い、大陀羅家の面々は権謀術数の限りを尽くす。
群れをなして襲いかかる刺客を、早すぎる探偵はそれでも未然に撃破できるのか?


~感想~
上巻では3人の刺客との攻防をそれぞれ短編で描いたが、この下巻では1日で刺客が何人も襲い来るため、当然のことながらトリックは質より量になった。
こうなると作者ならではの技巧や目新しい何かを凝らした様子も特に無く、売り出し中の作者にわざわざ凡庸な作品を書かせた理由も商業的なものしか見当たらない。



巻かれた帯では上・下巻の本作を「シリーズ」と形容し、まだ上巻しか売ってないのに「大好評シリーズ」とうたい、この下巻を「続刊登場」と呼ぶ、嘘・大袈裟・紛らわしいのトリプルプレーを披露しているのもなんともはや。
終盤にはギャグで言っているとしか思えない壮大な大風呂敷を広げて無理くり設定を裏付けるのも強引で、決して退屈だったわけではないが、感想を問われれば「超普通」としか答えようのない、いたって超普通の作品である。


17.8.5
評価:★★☆ 5
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