小金沢ライブラリー

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清宮の本塁打記録について

2017年10月20日 | スポーツ
ドラフトが近づきまた清宮の高校最多本塁打記録について「全て公式戦で打ってると思った」とか「練習試合も含めた記録に意味はない」とか「作られた新記録ww」だの野球のやの字も知らない連中が揶揄しているので、ざっくり計算してみよう。

まず今年のプロ野球の本塁打王がセ・パともに35本である。プロ野球公式戦は143試合で、35本打つためには143試合が必要となる。
超高校級の清宮なら1.5倍くらい打つとすれば、切りの良い数字にして140試合で50本打てる計算だ。
清宮は111本打っており、約310試合で111本に到達できる。

では高校野球の公式戦は3年間に早実の所属する西東京地区で最大いくつあるか数えてみる。

清宮1年
春季東京大会 5試合
春季関東大会 5試合
夏の甲子園予選 8試合
夏の甲子園 6試合
U-18ワールドカップ 8試合
国体 4試合
秋季東京大会予選 3試合
秋季東京大会 6試合
明治神宮大会 4試合

清宮2年
春の甲子園 5試合
春季東京大会 5試合
春季関東大会 5試合
夏の甲子園予選 8試合
夏の甲子園 6試合
国体 4試合
秋季東京大会予選 3試合
秋季東京大会 6試合
明治神宮大会 4試合

清宮3年
春の甲子園 5試合
春季東京大会 5試合
春季関東大会 5試合
夏の甲子園予選 8試合
夏の甲子園 6試合
U-18ワールドカップ 8試合

計132試合しかないのだ。しかも全て勝ち進んだ場合という明訓高校ですら達成できなかったパターンであり、言うまでもなく敗退した時点で残り試合は戦えない。さらにそれだけ強ければ予選はシードに選出されて1~2試合減るし、甲子園に出場した時点で参加が免除される大会もある。

つまり公式戦のみで111本打つためにはあと178試合以上が必要で、それだけ頻繁に公式戦をやるためにはプロ野球みたいに東日本リーグみたいなものが必要であり、そんな大規模なリーグ戦をやっていたら甲子園並みに話題になるはずである。
実際の清宮の公式戦出場数は70であり、29本塁打を放っている。これは2.4試合に1本ペースで、なんと計算に用いた310試合で111本の2.8試合に1本ペースを上回っているのだ。

「全て公式戦で打ってると思った」だの「練習試合も含めた記録に意味はない」と言っている輩は、早実が明訓高校以上の無敵さで、しかも清宮が全試合で本塁打を打っているか、もしくは話題にならないだけで甲子園に匹敵する規模のリーグ戦が全国で行われているとでも思っているのだろうか? 連中がどれだけ物を知らないかわかっていただけたことと思う。
ろくに知識を持たない分野に口を出し、あまつさえ馬鹿にできるのは単なる恥知らずである。
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マンガ感想-『C.M.B. 森羅博物館の事件目録 7』加藤元浩

2017年10月19日 | マンガ感想
「飛蝗」★★★ 6
~あらすじ~
道路建設に揺れる村。蝗害が発生し農薬が撒かれることになるが、村の子供に綺麗な鳥が死んでしまうと相談され、ヤイロチョウとにらんだ森羅は現地に向かう。

~感想~
この巻から4話収録がデフォルトとなり、「Q.E.D.証明終了」で使えないような小ネタで描かれた1話が増えていく。それはそれで面白いからいっこうに構わない。
というわけで今回は蝗害とヤイロチョウのウンチクで1話が描かれる。なお森羅がイナゴに埋め尽くされる場面は閲覧注意。


「鉄の扉」★★★ 6
~あらすじ~
300kgの鉄の扉に閉ざされた防空壕の中で発見された死体。誰がいかにして男を閉じ込めたのか。

~感想~
重たい扉の開け方で1話……だけではなく、決定的証拠の隠し場所が光る1編。


「イン・ザ・市民プール」☆ 1
~あらすじ~
立樹の安息の場である市民プールで起こる数々の小事件。

~感想~
小ネタ過ぎて何を言えば良いのかすらわからないが、つくづく夏の描き方の上手い作者である。


「ザ・ターク」★★★ 6
~あらすじ~
チェスを指すからくり人形「ザ・ターク」の見物に来た森羅と立樹。森羅が対局相手を務めるが、そのさなかに盗難事件が発生する。

~感想~
きわめて単純ながら納得の行くトリック。熟練したミステリ作家にはたった一つの小ネタを与えるだけで短編が1つ作れるという好例である。
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マンガ感想-『C.M.B. 森羅博物館の事件目録 6』加藤元浩

2017年10月17日 | マンガ感想
「カノポスの壺」★★★★ 8
~あらすじ~
エジプトの博物館で起こった猟奇殺人事件。被害者は銃殺され臓器を奪われていた。
銃弾で母の思い出の品を壊された森羅は怒りと悲しみを胸に犯人を追う。


~感想~
「Q.E.D.証明終了」とのコラボ作品。
森羅と燈馬は従兄弟同士という関係が明かされ、血は争えないというか、二人の名探偵の共通点や、それを補佐する可奈と立樹の苦労が描かれるのが面白い。
似通った立場と性格の可奈と立樹が意気投合するのは当然として、この二人が揃えば期待される大立ち回りはもう突き抜けるところまで行ってしまい、以降のシリーズではもはや人外の域に達しているのはなんともはや。それにしても立樹は用心棒として可奈を招くのだが、いったいどこで可奈の人外の力に気付いたのか。描かれなかっただけで裏で手合わせしたのか、それとも達人は達人を知るということか。

話が逸れたがミステリ的にも被害者をつなぐミッシングリンクや、謎めいた動機にどんでん返しと一通り揃い、またピラミッドにまつわる謎に加えられる森羅の解釈の数々も興味深い。
それだけではなく森羅の過去、亡き母との思い出もここぞという場面で描かれ、1冊をまるまる1話に費やしただけはある、シリーズ屈指の良作である。
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今週のキン肉マン #221 海賊式最終宣告!!

2017年10月16日 | 今週のキン肉マン
・タイトルの時点でカナディアンマンが死にそう
・なぜタックルしたままの左肩ではなく持ち替えて右肩に乗せるのか
・カナディアンバックブリーカーからの派生技!
・わりとタワーブリッジだ!
・ロビンマスクとの対戦経験が活きたな!
・タワーブリッジを出すまでもなくジャーマンで負けたけど
・英国超人のジャーマンでな
・少なくともタワーブリッジ・ネイキッドよりは実際に掛けられそうで実戦向きだ
・超人パワーは足りてなくもなかったがスタミナが足りなかった……
・パイレートマンの無理矢理な海賊キャラ付けした技名
・スピンして脳天から刺してるとはいえただのパーフェクトショット
・カナディアンマン「だが断る」
・懲りずにジャケットシャッターの射程内にアッパーを放つカナディアンマン
・委員長「あのお前がよくぞそこまで…」
・委員長の評価も激低かったのか…
・キン肉マンのウスノロ発言が特に減点材料だろうな
・背骨より首が折れそう
・どう考えても脱出不能
・スペシャルマンは間に合わなかったか
・THE超人様はどうなるんだろう
・予想では三角巾を着けて帰ってくると見た
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7/26のNXT #403  ギャビ・ガルシアより秒殺

2017年10月15日 | 今週のNXT
エンバー・ムーン ◯-× レイディー・タパ
(フライング・スタナー)

タパはTNAに参戦し、RIZINではギャビ・ガルシアとも戦った180cm超の巨体で序盤だけ攻め込むが、エンバーはトルネード式のブレーンバスターで反撃に出るとギャビ・ガルシアを上回るわずか1分半で料理し、NXT女子王者アスカに挑戦表明した。


オーサーズ・オブ・ペイン(エイカム&レーザー) --- デビッド・ラモス&ティモシー・バンパース
(試合不成立)

ラモス&バンパースはとてもジョバーには見えない個性あふれる二人組だったが、ゴング前にSAnitYのアレクサンダー・ウルフ&キリアン・デインに襲撃され、試合は流れてしまう。
SAnitYはさらにオーサーズ・オブ・ペインを襲ったが軽く返り討ちにあった。


ベルベティーン・ドリーム ◯-× セザル・ボノーニ
(ダイビングエルボードロップ)

キャラの定まらないボノーニはなぜかみちのくドライバーを披露したが、ベルベティーンにデスバレーボムで叩きつけられると、トップロープ上で腰振りからのエルボードロップで仕留められた。


・ドリュー・マッキンタイアが演説
NXT王者ボビー・ルードへの挑戦権を手に入れたマッキンタイアがタイトル戦への意欲を語った。


カシアス・オーノ ◯-× ヒデオ・イタミ
(ローブローにより反則)

これといって特筆することもなくヒデオが優勢に試合を進めたが、オーノが強烈なブートで反撃。
さらに必殺のローリングエルボーを繰り出そうとしたが、ヒデオが正面から急所を蹴りつけ反則裁定が下された。

ヒデオはその後も暴行を続けgo 2 sleepを浴びせると、さらに場外に引きずり出してgo 2 sleepで鉄階段に叩きつけ、遺恨決着戦どころかますます因縁は深まった。
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2017横浜DeNAベイスターズ私的感想 控え野手編

2017年10月14日 | スポーツ
嶺井博希
戸柱がレギュラー認定されるやいなやなぜかレギュラーを奪うという超展開で終盤戦はスタメンマスクを多くかぶった。
調子の波の少ない打撃でチャンスを広げ、倉本のサヨナラ打では一塁から一気に生還という思っても見なかった俊足を披露。直近の試合で戸柱も高城も激走でサヨナラのホームを踏んでおり、捕手3人がチーム内では結構速い方という横浜の闇を垣間見せた。
先発戸柱で8回あたりから代打で入れ替わる(逆もあり)リリーフ捕手という新戦術も悪くなかった。


高城俊人
昨年担当した山口が抜けたため濱口を担当。や→は?
前述の通り、対広島3連続サヨナラでは倉本の内野安打を菊池がこぼしたのを見逃さず、二塁から余裕の生還を果たした。
2アウトでとにかく走ればいい場面とはいえあれは速かった。菊池実は高城の俊足を知っていてノーバンで捕りに行った説は成立しないだろうか。


白崎浩之
オープン戦の好調で今年こそはと期待されるが全く打てず早々に二軍落ち。サヨナラ打? 知らない話だ。
終盤に戻ってきたが主に代走という使い道に笑った。消化試合では3三振でファンを嘆かせ、翌日にやっと二塁打が出たと聞き映像で見たらセンターの判断ミスだった。
カタログスペックだけなら一級品でおなじみ大田泰示が北の大地で解き放たれると大暴れしたこともあり、スペックでは引けを取らない白崎にも何か逆転の目があるはずだが……。


石川雄洋
ピロヤスの加入と柴田の台頭でポジションを失った。バントと守備が長所なところに球界屈指のバント職人と70%菊池が出てきたらそりゃきつい。
勝負強くはないが何かやってくれそうな打撃はもったいないが、二塁手ばかり三人いてもしかたないので、やむをえない。ショートと外野が駄目だった石川サイドにも問題はあると思います。
ピロヤスが何年やれるかわからないが、かと言って石川も上がり目が無い。来年は正念場だろう。


山下幸輝
痛恨のエラーで二軍落ちし、終盤に昇格すると余裕の捕球でグラブをポンポン叩いてからの悪送球でまた二軍に逆戻り。普通にイップスだと思うし、あのラミレスに一瞬で切られたほどだから深刻である。とりあえずカウンセラーにかかって欲しい。


エリアン
シリアコがコケて昇格したが得点圏で昨年のような勝負強さを見せられず、エスコバーが加入すると外国人枠に阻まれあえなく二軍に沈んだ。ドタバタした外野守備と時々ポカをするくらいで堅実な内野守備、メジャー級の強肩とチャンスでだけ打つ一発。魅力あふれる助っ人だったが最近見なくなってきた菊地亜美とともに今年でお別れだろう。


佐野恵太
ドラフト最後尾から開幕メンバーに名を連ねたが打率は1割に届かず、降格するとそのまま二軍で過ごした。
まだあわてる時間じゃないが「乙坂、以上」な左代打陣のチーム事情はあわてて欲しい。


G.後藤武敏
後半戦で昇格するも十数打席ノーヒット。もう限界かと思われたところで快音を飛ばし首の皮一枚つながった。
後藤のおかげで勝てた試合は2つあるが全く安定感がなく、Xデーはやはり近い。出れば盛り上がるんだけどね。


田中浩康
打率は低迷したが職人芸のバントとしつこいほどの右打ちに鉄壁の守備と、おおむね期待した通りのピロヤスを見せてくれた。終盤は投手の左右に関係なく柴田にポジションを譲ったが、あのバントだけでもベンチに置いておく価値がある。
なお年度別成績を見たらびっくりするほど一昨年(2015)に似ていたのでぜひ調べていただきたい。


細川成也
初打席初ホームランだけでも狂喜乱舞なところ2試合連続のおまけが付いたロマンの塊。CS行きの切符までつかみ、これでCSでも打ったら2chのサーバーが落ちそう。先に後藤が出てきたら笑う。打てなくてもいいからあのホームランを狙って打ってる豪快なスイングを披露してもらいたい。


シリアコ
オープン戦は打ちに打ちまくり開幕スタメン5番サードに名を連ねたが打率.074に沈んだ。宮﨑の位置にシリアコがいたという驚愕の事実に我々は震えを禁じ得ない。
新外国人にはオープン戦でわざと打たせるんだよと訳知り顔に語る連中を来年は見返せるか、それ以前に来年もいるのかは不透明。北陸リーグ上がりで激安だしもう一年は様子を見ると思うが。


荒波翔
主に代走と守備固めで起用。前半は代打でも使われたが三振の印象しかない。二塁まではさすがの俊足だが、全盛期には本塁まで一気に生還できた当たりでも三塁で止まることが多く、足も体力もやや衰えた気が。乙坂、関根が台頭すればそろそろ厳しい。


乙坂智
主に代打での起用。走攻守の全てにそこそこ秀でた選手だけにもったいないが、外野のレギュラー三人を脅かすほどではない。昨年は3割を超えた代打での当たりは鳴りを潜め、どうでもいい2本塁打だけ。改めて成績を見たら四球が1つ切りで驚愕した。代打専門としては塁にも出られていないのは問題外。いればなんにでも使えるが、本人にとってはこれで成長が見込めるのかどうか。


白根尚貴
高校時代の面影なくスマートになった今でもジャイアンと呼ばれる気の毒な男。プロ初安打を本塁打で飾ったが、出番はほぼそれだけ。細川も出てきたしそろそろ勝負どころ。まずは後藤の後継者争いになるだろう。


関根大気
主に試合が決まった後の筒香の代役として起用。オープン戦で打ちまくり期待されたがスタメンは奪えず、そうこうしているうちに完全に冷えた。序盤は桑原が絶不調で、その頃にもし代わりに使われていたら……と思うのは無意味だろう。桑原復活したし。当面のライバルは乙坂、荒波というのは来年も変わらない。
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7/19のNXT #402  挑戦者決定

2017年10月13日 | 今週のNXT
エンバー・ムーン ◯-× ルビー・ライオット
(フライング・スタナー)

開始早々に客席から「This is Wrestling」チャントが飛び交う好勝負。手が合うのかルビーはこれまでで最も良い動きを見せ、トップロープからのセントーンや雪崩式フランケンシュタイナー等の大技を披露。
余談だがWWEでは基本的にハリケーン・ラナと呼ばれるが、実況のマウロ・ラナーロはフランケンシュタイナーと呼んでいた。シュタイナーの部分がスコット・スタイナー大先生由来だからだと思うのだが、このあたりプロレス畑ではない外部招聘のラナーロならではだろうか。
一進一退の熱戦が最後まで続き、ディスカス・クローズラインを叩き込んだエンバーが一気に必殺技までつなげて勝利した。


オニー・ローキャン ◯-× ダニー・バーチ
(シングルレッグ・ボストンクラブ)

いまだにロスターではないようだが謎のプッシュを受けるバーチが今回も躍動。
スパイク式ダイヤモンドカッターやパワーボムホイップを喰らわせてニアフォールとなるが、ローキャンはガチビンタ3発で流血させると、雪崩式ブレーンバスターを逃れ、突進してきたところを後転しながら捕らえるランス・ストーム式のボストンクラブであっけなくタップを奪った。

試合後には握手を交わし、バーチは再戦を要求しローキャンも快諾した。これタッグ結成する流れだろ。


ノー・ウェイ・ホセ ◯-× セザル・ボノーニ
(パンチ)

アンドラーデ・シエン・アルマスから金星を奪ったのに2ヶ月出番のなかったボノーニが登場。
しかし攻勢に出たのは一瞬で、全く歯が立たず普通にホセに仕留められた。

その後、アルマスが元TNA女子タッグ王者のロシータことティア・トリニダードを伴いボノーニを襲撃。さらにホセを挑発して去っていった。


NXT王座挑戦権争奪戦
ドリュー・マッキンタイア ◯-× キリアン・デイン
(クレイモア×2)

ヒール同士ながら無敗の両者で挑戦権が争われた。
中盤からデインが一方的にベイダーボム、雪崩式フィッシャーマンズ・スープレックス、パワーボムホイップといった大技を連発するがマッキンタイアはフォールを拒否。
逆に懐かしのフューチャー・ショック(ダブルアームDDT)を返すがデインはそれをカウント1で返し、さらにようやくクレイモアの名称が解禁された片足ドロップキックからも起き上がって見せる。
動揺しながらもマッキンタイアは観客とデインの双方から「もう一発!」と促され、2発目のクレイモアでとどめを刺しNXT王座への切符を手に入れた。

これでタッグ王座とNXT王座はヒール同士で、女子王座はフェイス同士で争われるという珍しい形になった。
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2017横浜DeNAベイスターズ私的感想 救援投手編

2017年10月12日 | スポーツ
山﨑康晃
序盤は去年を引きずるような不安定さで1ヶ月ほど中継ぎに回されたが、その間に無失点で復調しストッパーに戻されると本調子に。
デビュー年に猛威をふるったツーシーム(ツーシーム?)はなかなか空振りを取れなくなったが、キレを増したストレートで抑えられている。一発は浴びないが一本出るとなすすべもなく連打を浴びて勝ち試合をフイにすることもあったが、セーブの付かない場面でも多用され68試合(!?)も投げての1点台の防御率はお見事と言う他ない。
しかしこの酷使のツケはどこかで必ず来ると思うのだが……。


パットン
山﨑に代わってストッパーを務めた時や終盤に崩れることもあったが、シーズンを通して安定した活躍。
どんな場面でも慌てず騒がず淡々と投げ続けた佇まいはまさに職業軍人のそれで、将軍の異名は伊達ではない。
来年もぜひ残って欲しいがまあメジャーに戻るだろうなあ。


三上朋也
過去3年間の面影はなく、一打席に一球はスライダーを思い切りよくド真ん中に放り会心の当たりを許していた。
去年から兆候はあったが三振を取れなくなっていて、とにかくボールが低めに行かない。
二軍調整後も様子は変わらず、何か抜本的な改善が必要と思われる。パットンが抜ければまた三上に比重が掛かるので本来の実力を取り戻して欲しい。


砂田毅樹
制球が良く四球を出さないのはいいが、決め球が無いためファールで粘られ、甘く入ったところを痛打されるケースが多々あった。
とはいえ頑丈なセットアッパーとしてフル回転し、最低限の役目は果たしていた。先発も行けるが現在のところ左の駒が揃っているので、来年も同じ役割を求められるだろう。
それにしても昨年のドラフト企画で阿部慎之助が砂田を上位指名したのはなんだったのか。


エスコバー
新外国人が7月にトレードに出されるという異例の事態。どんな不良債権を押し付けられたのかと思いきや、疲れの出始めた救援陣を支えるプチ救世主に。交換で日ハムに移籍した黒羽根も普通に使われているようで、絵に描いたようなWIN-WINのトレードとなった。
細かいコントロール抜きでひたすら剛球を放り、ランダムにカーブを投げるだけだが不思議と四球は少なく、1イニング限定なら捉えられる前に抑える。スタミナ豊富でイニングまたぎもできるが、だいたい2イニング目は連打されていた。
一度だけ先発も試したがあの頑固なラミレスがたったの一度でこれはやばいと諦めたのは笑った。


田中健二朗
粘り強く投げたがランナーを溜めてしまい力尽きた先発を救援すると「こうやって打たれれば良いんだ」と言わんばかりに軽快に連打され、四球でさらに傷を広げる場面が印象に残ったが、誰を出せばいいか迷った時にはとりあえずタナケンという、去年の須田と同じ使い方で一年を通して故障なく投げてくれたことには普通に感謝したい。
主に左のワンポイントで起用されたが、1イニング投げる時は全く左右を考慮されていなかった。


加賀繁
前半は対バレンティン○と引き換えに安定○を手にしたが、徐々に打たれ始め姿を消した。
先発が6回くらいで下がることが多く、リリーフ陣の駒を揃えるためにはワンポイント起用の多い加賀で一枠埋まるのを避けた形だろうか。ワンポイントにしても安定感に欠けており厳しいところで、年齢的にも進藤が育ってきたらそろそろ危険水域に入るかも。


三嶋一輝
初先発で先頭打者に一発を浴びてKOされ翌日に二軍送還というロケットスタートを切った。
終盤戦で三上が二軍に落ちると平田・尾仲と入れ代わり立ち代わりリリーフを務めたが三人ともさしたる区別なく普通に打たれ続け、誰も頭一つ抜け出さなかった。その中でも三嶋はまだ1イニングだけ「おっ」と思わせる瞬間があるにはあったか。


平田真吾
終盤戦でリリーフを務めるとまずまず無難に抑え、ラミレスからも勝ちパターン入りの意向が示された矢先に炎上し続けチャンスをつかみ損ねた。とはいえ昨年の出るたびに披露した爆発炎上(防御率20点台)と比べれば劇的な改善を見せており、来年以降に期待が持てる。


尾仲祐哉
ドラフト6位ルーキー。ハイライトは例のクリーンナップ三連弾サヨナラで初勝利を引き寄せヒーローインタビューに呼ばれた場面。
終盤戦では良いところなく打たれまくったが、あれを励みに来年以降に期待したい。


進藤拓也
何かの悪い冗談のようなガチャガチャしたフォームから勢い良く四球を与えていた。顔は浦沢直樹作品に出てきそう。
ドラフト8位の進藤と9位の佐野が開幕メンバーというインパクトは強かったが、すぐに二軍に落ちてしまった。
真価が問われるのは来年以降だろうが、フォームといいサングラスといい特徴だらけで結果さえ出せば人気の出る要因はいくらでもある。


須田幸太
昨年の救援陣の中核は、今年はワンポイント起用に留まった。しかし消化試合で好投を見せしれっとCSメンバー入りした模様。
わりと真面目に勝敗の鍵を救援陣の中では須田が握っている気がしてならないファンは多いはずだ。普通に炎上しても須田なら許す。
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ミステリ感想-『リバーサイド・チルドレン』梓崎優

2017年10月11日 | ミステリ感想
~あらすじ~
カンボジア。ゴミ山から集めたゴミを売り、日々の糧を得るストリート・チルドレンたち。
日本人ながらその中の一人である少年ミサキは、リーダーである太陽のような少年ヴェニィの下でたくましく生きていた。
だが一人、また一人とチルドレンたちが殺されていく。人間扱いされず誰からも顧みられない彼らをいったい誰が殺すのか?

2013年このミス6位、文春7位、本ミス3位、大藪春彦賞


~感想~
衝撃のデビュー作「叫びと祈り」で斯界を賑わせた作者の長編第一作。というか現状この2冊しか出ていない。
ミサキ少年の目線で容赦なく描かれるカンボジアの過酷な現実は、平和な日本人読者からすれば目を背けたくなるほど。
だが作品自体の構造は意外なほどに王道のミステリで、誰からも顧みられないはずのストリート・チルドレンが誰になぜ殺されるのかという明確なフーダニット&ホワイダニットであり、また被害者の共通点を探るミッシング・リンク物でもあり、カンボジアという独特の舞台によるルールで描かれた異世界本格の空気も強い。
さらに事件と密接な関連を示す童話映画があらすじだけだが作中作として挟まれ、解決編では謎めいた風来の名探偵が登場。さらにさらに本格ミステリガジェットがもう一つ追加され、事件の動機はたった一言で表せるほど単純にして盲点をつき、豊富な伏線がフラッシュバックし、終わってみればとどめとばかりにさらなる本格要素が2つ追加と、もしや小島正樹ばりに一作に詰め込める限りの本格ガジェットを満載したやりすぎミステリなのではと思いたくなる。
題材が題材だけに不謹慎厨が湧いてきそうだが、隠し切れないほどの本格ミステリ臭もこの作品の魅力の一つであることは疑いなく、またさらに不謹慎厨を招きそうだがカンボジア・グレンラガンといった少年の成長譚としての側面も見逃せず、多彩な読み方を受け入れる、一読忘れ難い良作である。


17.10.9
評価:★★★☆ 7
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2017横浜DeNAベイスターズ私的感想 先発投手編

2017年10月10日 | スポーツ
今永昇太
初登板で負傷退場、次にKO、その次に準ノーヒットノーランと安定感のないスタートを切ったが、終わってみれば11勝に2点台の防御率とエース格の活躍だった。
先発陣では最も安心して見ていられ、課題のスタミナも完投3回、うち完封2回と向上中。チームでは貴重なイニングを食える(こともある)先発なので、来年はもっとリリーフ陣を休ませて欲しい。
久保康友も退団することだし、意識高いけどラリってない試合後のコメントで2代目投げる哲学者の襲名も近い。引退後は語録で印税生活だ。


井納翔一
6~7回までは日本屈指の右腕だがランナーを1~2人出すと急に炎上するという特徴は今年も変わらず。
6回過ぎて二塁に進まれたら自動的に交代するスクリプトの導入が急がれたが、終盤に導入したら5回までに捕まるようになった。なぜだ。
例年と同じく黒星が先行したが、長期離脱せずたまに長いイニングを投げられ、なによりチームでは貴重な右の先発としての役割は果たした。マウンドに文字を書く習慣を腫れ物扱いする解説がたまにいるのも面白かった。


ウィーランド
前半戦は援護に恵まれない中でクオリティ・スタートを鬼のように決めまくり、降板後にチームが勝つと白星が付かないのに大はしゃぎするナイスガイぶりを披露。
後半からは4~6失点するが自らのバットで何点か返し、結果的にクオリティ・スタートという自援護を連発。全く力味の入っていないスムーズにバットが出る、天性のセンスの良さを感じさせる打撃は右の代打陣にぜひ学んで欲しい。そもそも8番投手はウィーランドの打棒を活かすため、という建前だったがもう誰でも関係なく最後まで貫き通されたのは笑った。
メジャーに帰って投手として干されたら代打で雇ってもいいんじゃなかろうか。


石田健大
開幕投手を務めるも激しく炎上、4月早々に戦線離脱と不安しかない幕開けだったが、交流戦明けに復帰すると昨年の姿を取り戻した。
シーズン前に期待されたエースの称号には物足りないものの、今永と同じく先発陣の中では安定感が際立っており、8番打者として謎の勝負強さでチャンスを広げることも稀によくあった。
スタミナの無さは当面どうしようもないが、ラミレスの目には他の先発陣も石田並のスタミナしか無いように見えるのか、6回で切り上げる場面が今年は目立った。もう少し太って山口俊と誤認させる作戦はどうだろうか。


濱口遥大
ノーコンというより荒れ球で的を絞らせず、威力のあるストレートとチェンジアップで最後まで通用した。
2ケタ勝利は立派どころかもし濱口がいなかったらと思うとゾッとする。1位で指名した柳裕也と佐々木千隼も悪くはなかったが濱口ほどフル回転はしてくれなかったわけで、ラミレスのクジ運の悪さ(良さ?)には感謝したい。
問題は来年以降も使えるかどうかだが、球威のある荒れ球とチェンジアップのコンビネーションはそもそも攻略しづらく、行けると思うのだが。


飯塚悟史
初登板からしばらくは5回くらいならなんとか抑えたが、正直言ってまだまだ一軍のレベルにはなく終盤は投げるたびに炎上した。
とはいえローテーションの一角として数度の先発を担ってくれたのはコストパフォーマンス的には大成功。
実働1年目で20歳とこれからの選手であり、悪くてもノムさんも認めた粘り打ちで打者転向の目もある。
せっかくの新潟凱旋を雨天中止で流すあたり引きが弱そうなのが気になるが。


クライン
開幕前には最も期待され鳴り物入りで入団したもののあっさり姿を消した。ぶっちゃけほとんど覚えていない。
すでに帰国しておりそのまま退団だろう。結果論だが半額で残留させられたモスコーソが残っていればもっと楽だった。


久保康友
今年は炎上していた記憶しかないがなぜか2つも貯金を作っていた勝ち運の持ち主。残念ながら退団が決まった。
中継ぎや緊急時の先発なら問題なく使えるが、本人にローテーションへのこだわりがある様子。4月の終わりに昇格した時の「広島が1位だとさっき知った。現状は把握した。打者はこれから」の異常なほどの強キャラ臭は笑った。
今永という哲学面での後継者もできたし、役目は終えた。暗黒期にわざわざFAしてきてくれてありがとう。


熊原健人
久保とともに驚異的な勝ち運でなぜか貯金2を作った。先ごろ天然キャラは親譲りと判明。
これからの選手だがとりあえず背番号1は桑原あたりに譲るつもりはないかね?


平良拳太郎
初登板初勝利を挙げるもその後は炎上を繰り返した。目下のライバル球団から2年目の有望株を強奪できただけでも数年はお釣りが来るので、その間に育ってくれれば問題ない。
他の候補に今年で解雇された江柄子裕樹もいたのだから、目先の利益を追い求めずに将来性のある平良を選んだのは大正解である。
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