東方のあけぼの

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マンション法第32条原始規約:管理組合という悪文化(7)

2006-07-23 04:28:06 | マンション管理組合

ペットを飼いたい人は必読。あなたがマンションを購入した時にたくさんの書類にハンコを押しただろう。立派に印刷されたデコボコ・マンション管理規定集といった表題がついている書類を渡されて同意書に書名捺印を求められたのではないだろうか。

マンションの管理規定の標準版なのだろう。首尾結構の整った一人前の体裁を整えている。建前では最初の管理組合総会で承認され(必要なら改訂されて)正式の管理規約となることになっている。

あてがい扶持で、一式整っている定食みたいなものだ。大体それを食う。便利には違いない。ところでマンション法では分譲業者は管理規約のプロトタイプのようなものを作成することが出来ると定めている。第32条だ。明記してある、決めることが「出来ること」は次の四つである。すなわち

a 規約共用部分のさだめ

b 規約敷地の定め

c 分離処分を禁止する定め

d 各専有部分と一体化される敷地利用権の割合に関する定め

である。

しかし、通常購入者が渡される書類はこの規定にとどまらない包括的なものであることは冒頭に述べた。法律で「出来る」と対象が明示してある場合、ジャー、それ以外はできないのかというと、はっきりしないことが多い。「出来ない」とか「禁止する」とか書いていない場合は出来ることがおおい。もっとも司法労働者の都合によって臨機応変に恣意的に「できない」と解釈してしまうこともあろう。法律の恐ろしいところだ。

司法労働者に限らず役人と言うものは業界優先根性が染み付いているから法律の解説書なんかを彼らに書かせると、「実際にはそれ以外の規定も含まれているようである」と実態を追認するようなことを書く。

業者はこうしておけば、分譲後速やかに自分のイキのかかった管理会社が自動的に管理業務を開始できるからラクチンである。購入者は銀行のローン書類だとか、税務書類だとか、いい加減ノイローゼ気味になっているから、管理規定なんて害になることも書いてはあるまいとメクラ判を押すのである。

業者の用意する原始規約がマンション法の定める権限外のことを規約に盛り込んでいると、時々妙なことがおこる。ペットを飼えるかどうかという問題がある。もし、原始規約に禁止してあれば、ペットを飼いたい人は最初の管理組合の集会で規約を改正するように要求して、しかるべき数の賛成を得る必要がある(この規定もマンション法にある。第31条。たしか組合員の四分の三以上)。そうしないと、業者の用意した規約が有効になって、ペットが飼えなくなる。いずれにせよ、業者の持ってくる管理規約の同意書には簡単に判を押さずに保留したほうがよい。それでマンションを売らないということも出来まい。

断っておくが、これは分譲マンションのはなしで、賃貸マンションの場合は入居者に規約を作成する権限はない。大家にペットは禁止です、と言われれば従わなければならない。

おかしなことがあった。マンションを買ったときに業者からペットを飼っていいと口頭でいわれたと主張する人間がいるが、もともと業者にはそんなことを決める権限はないのだ。

ペット飼育者に有利なことを書いたが、私自身はペットを飼う人間を好まない。ひとこと追加しておく。ペット飼育者を好まない理由はペットがかわいそうだからである。標準的なマンションはペットにとって好ましい環境とはいえないからである。つまり動物愛護の観点からペットのマンション飼育に反対する。

次回はブロードバンド時代の総会のあり方を考える。