東方のあけぼの

政治、経済、外交、社会現象に付いての観察

小泉ジュン一郎回顧録3

2007-10-05 23:29:22 | 社会・経済

M(某マスコミ労働従事者):

ところで、靖国参拝にはなにか戦略があったんですか。

J(小泉ジュン一郎):

総裁選挙中から総理になったら靖国参拝するといっていたからね。総理になったから変更するわけにもいかない。大体政策なんて具体的なことは考えてなかったな。当選すると思ってなかったからね。大体だね、新潟の「屠者」の孫娘から総裁選に立てたてといわれるまでは総理になるなんて考えたことがなかったんだから。

M:そうすると、行き当たりばったりですか。

J:そうねえ、どちらかというと反射神経に頼ったね。郵政民営化なんてのは持論だから別に考えることもなかった。靖国参拝も公約にしていたから大して考えもしなかった。とにかくなるだけ目玉を絞り込もうという方針でね。

M:国民には分かりやすくなりましたね。

J:とにかく、長らく続いた田中、竹下一派との違いを鮮明にだすことを第一に考えたね。更科人と決別するためには靖国参拝は分かりやすかっただろう。予想通り科人が狂ったように怒ってわめきたてたからね。

それに怪我の功名なんだが、靖国参拝をしている限り強硬保守からの支持が確保できたからね。郵政民営化とか規制緩和なんていうのは元来保守からは手ひどく反対されたはずだが、靖国参拝という護符を持っていたおかげで無事にすんだ。

M:しかしアメリカは科人と激しく対立するとなにか言って来るんじゃありませんか。彼らも最近は中国と仲良くしようとしているでしょう。

J:そこはだね、二つポイントがある。まず第一に彼らの規制緩和、自由化の要求にこたえてやればいい。アメリカにとってまず日本市場へのフリーアクセスだったからね。中国と日本が揉めて間接的にアメリカが影響を受けて困る問題はその次だ。

M:もう一つは??

J:アメリカは日本が中国とあまり親密なのも困るんだよ。米中第一だからね。前のクリントンのときは竹下一派で日中は親善だったろう。だからクリントンはしきりに日本に意地悪をした。それで日本の経済はバブルから一気に崩壊したわけだ。

M:なある、それでアメリカも小泉さんの間は遠慮していたわけだ。安倍さんになったら早速安倍さんの訪中をセットしたからね。

J:そういうこと、最後の頃にはブッシュも心配になって「更級人との関係はどうなっているんだ」なんて聞いてきたな。

大体日本の保守、右翼はぼんやりしていてだらしがないよ。靖国参拝をしていれば満足しているんだから。それに俺が使った安全保障の専門家とかアメリカとのパイプは全部向こうの息のかかったエイジェントみたいな連中だぜ。向こうの注文だからな。それに気がつかないなんてどうかしている。

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沖縄集団自決のアポリア2

2007-10-05 09:35:33 | 社会・経済

ヴェトナム戦争の前後だったかな、大分前になるがアメリカに行った帰りにホノルルに寄ったことがある。夜レストランでフラダンスのショーがあったんだが、同じテーブルに上品なアメリカの婦人がいた。いかにも良家そだちという感じの15,6歳の娘が一緒だった。

私の連れが英会話の勉強がしたかったのだろう。そのアメリカ人に話しかけた。どうせ日本の英字紙で英語の勉強をしているのだから、その頃紙面をにぎあわせていたベトナム戦争のことしか話題が思い浮かばなかったらしくて、その母娘にベトナム戦争をどう思うかと聞いたもんだ。

そのとき、婦人は娘を促して無言で席を立ってしまった。戦争とか政治とかの話題は食事の席でするものではないが、そんな初歩的なマナー以外に母親の態度に娘に対するおもんばかりを感じて長く記憶に残っている。

戦争というものは存外に複雑なものだ。大人になって気合を入れて十分に自分のやっていることを意識した上で議論するのはいいだろうが、子供や青少年にするときにはよほどの配慮が必要だ。

子供がエログロナンセンス雑誌を読むことや、出会い系のインターネット・サイトの閲覧には神経を尖らせる大人も、戦争について単純きわまる一面的な押し付けを垂れ流すマスコミの報道に対して無神経だ。エログロナンセンスなものには、どんなに幼い子供でも、いけないことをしているという気持ちがある。いわばこっそりと盗み見をしているわけだ。

ところが戦争宣伝にはそういう意識のバリアーがない。幼いこころに深く植えつけられてしまう。最近の沖縄集団自決を中学だか高校の教科書に記載しろという運動を見て、ホノルルで会った思慮深い婦人のことを思い出した。

あれは中学生かね、「私たちのオジイ、オバアが言うことはうそだというのですか」と声を張り上げていたが、吐き気がする。あんなふうに子供を使ってはいけない。

狂気と混乱のきわみが支配する戦場で全体像を把握することは難しい。しかし、住民に軍の命令だと信じ込ませる状況があったことは十分に推測できる。しかし、子供の教科書に扇情的に記載することではなかろう。

一体、運動の目的は何なのだ。「沖縄戦について正しい歴史認識を持つために」と沖縄県知事はいう。それは必要だ。だが、沖縄戦について正しい認識を持つためには膨大な知的努力が必要だよ。とても子供の出来ることではない。

具体的にはどういう方向へ誘導しようというのだ。お題目だけ唱えていればいい、というものでもあるまい。本音を語らなければいけない。存外本音などない無邪気な向きも多いだろうが。

つづく