以下はこれまで幾何学的序列シリーズとして、富田未亡人の産経と諸君10月号の会見記をめぐって発表したものをまとめたものです。
0 訴訟を考えよ(追加)
日経は必死になって逃げ込みをはかっている。国会でも渡部昇一氏の要求するように予算委員会で証人喚問までいくか、難しそうだ。第一野党の小沢一郎が、陛下の大御心が分からんのか、とあのジャガイモ面になじまないことを云っている。野党第一党の党首が率先してあのメモを政治利用しようとしている。もっとも、岩手(山形?)の山猿には大御心なんて何のことか分からなくて云っているのだろうが。
客観的、公正、科学的、厳密な証拠調べの場は法廷しかないのではないか。訴訟を考えるべきである。いかなる罪名で、誰を訴追するか、どこの裁判所を選ぶか、そろそろ考えたほうがいい。
1 産経新聞はその役割を終わったか。命題の真偽を述べよ
正論路線の行方
産経新聞はもとに戻ったね。もととは何時ぞ。森善朗君が新米記者だったころかな。その頃はマイナーな経済紙、企業新聞といったところ。日経には及びもつかないが一応格好だけ。日経といっても当時のことだよ。経済紙としては権威があった。
産経は企業の御用聞きみたいなもので、左翼的組合が全盛期だったから、ある会社が御用組合を立ち上げるといえば、左翼組合つぶしの記事をでっち上げるというようなことをやっていた。かなりブラッキーなもので業界紙的なところがあった。
その後、気がついてみたら正論路線とかいっていいことを言うようになった。その功績は認める。いまでも産経はマイナーだがその当時は3Aといった感じね。しかし、富田未亡人の会見記を臆面も無く載せるようではもとに戻ったようだ。誰の指図かしらないが。救いはあまりにもひどい記事のために記者がわざとそういう風に書いて消極的な抵抗をしたのかな、と取れないこともないことだ。
2 森善朗は産経に影響力ありや
ところで、本屋にある政界紳士録のようなものを立ち読みしたら森善朗氏の職歴はただ新聞記者とある。どこの新聞社と書いていない。たしか産経と聞いたことがあるな、と本屋に確かめにいったのだが、会社の宣伝はしちゃいけないと遠慮したのかな。
念のために他の議員のページを開くと、中川秀直氏なんかは日本経済新聞記者と誇らしげに書いてある。
オイラも馬鹿だ。帰ってから気がついてインターネットで検索した。ヤフーで調べると大学卒業後昭和35年から3年間産経新聞記者をしていたとある。ヤフーのは書式が同じようで会社名まで書けといわれたのだろう。これから見るとマイナーな産経にいたことを森善朗氏は気にしていたとみえる。
日経(中川)ゴール、産経(森)アシストという構図かな。新聞が政治屋の走狗になってはいけない。
3 産経新聞9月1日 一面にのったインタビュー
昭和天皇お人柄「伝えたかった」、富田メモ公表 夫人語る
論評に値ぜず、という言葉がある。あまり馬鹿馬鹿しくて真面目に答える気がしないということだ。上記の記事について私も吐き捨てるようにそう言いたい所だが、そうもなるまい。
論評に困るんだよね。だけど、あんな記事でも、なるほどと納得する人も結構いるのかもしれない。だから記事になるわけだからね。ま、なんとかやってみよう。
問題の記事は富田未亡人の発言をカッコつきで八箇所引用している。
3・1
「こんなに大騒ぎになるとは思わなかった。日記やメモを公表したのは、昭和天皇のお人柄を伝えたかったから」
亭主が家政夫として、お仕えしていたんでしょう。あなたがしゃしゃりでることはない。
「家政婦は見た」なんてテレビドラマがあったが、使用人のモラルに反する。守秘義務に反する犯罪ですよ。あなたにはそんな権利は無い。勿論義務もない。そんな自由もあなたには無い。普通の神経ではこんなことは言えない。なんかトンチンカンだね。
3・2
「読んだらとてもおもしろく、まるで富田が生きているみたいで」
これは家庭の日常を書いているところでしょう。産経の記者がこの発言を挿入することは、紛らわしく無用なことだ。
3・3
「陛下は口数が少ないと言われていましたが、実はお話好きでした。(自分の見聞のようにいうことはない。家政夫の亭主が家に帰ってきて晩酌をしながら女房に勤め先の主人のことを断片的に漏らしたことを大げさに)いろんな歴史も教えてくださったそうです。ユーモラスなかたでもあって、そのお人柄をみなさん(国民、読者のことか)にお伝えしたかった」
しょっているというか、誇大妄想というか、余計なことというか。もっと起承転結のしっかりした文章として残っているならまだしも、あんな曖昧なものをよくそんなふうに売りつけられるものだ。あの書き方からは自分の一時的な心覚えとして書いていたことが明瞭である。だから他人が読んでも分からなくても平気だったのだ。それに解釈を勝手につけて国民に売りつける。これは犯罪以外の何ものでもない。それならなぜ、大学などの研究機関に渡さなかったのか。いきなり商業新聞に売りつけるのか。売名と金目当てであることは明瞭だ。
3・4
「富田に陛下から伝言があって『サフランは蘭ではないんだよ』って。たったこれだけだったそうです」
これは陛下のお話はいつも断片的で唐突であったということを言いたいらしい。そうして富田夫人は陛下の発言という断片的なメモの解釈は私にまかせてくれ、という根拠としてこれを持ち出しているらしい。これは上坂冬子氏の文章にも出てくる。『蘭はサフランではないんだよ』は決定的な証拠になると思っているんだね。老婆の錯乱した浅知恵の典型だ。
第一上の、
3・3
陛下は口数が少ないと言われていましたが、実はお話好きでした。
という話と矛盾している。
3・5
松岡洋右らの人物批評については「陛下はお亡くなりになる前から、何度もそのような話を(元長官に)されていたようです」。これも曖昧メモの元外相の名前が出てくる部分の根拠のつもりらしい。
3.6
亭主がメモや日記の公開を望んでいなかったのではないかという声に対しては「喜んでいないことはないと思います。一冊も本を出さなかった人ですから、一つくらいは出してもいいのかなと思います」。そりゃ家族のこととか、家庭の中のことならいいでしょうよ。問題になっているのはそんな部分ではないでしょう。大体、この対談のテーマは昭和天皇の発言と称される部分のことでしょう。それが、見境も無く一冊くらい出してもいいでしょう、なんて軽々しく言われたら困りますよ。第一新聞はそんな富田氏一身に関する日記なんか一行も報道していないではありませんか。問題は報道されている部分についてですよ。
3・7
「こんな大騒ぎになるとは思わなかった。メモや日記をとらえて靖国を論ずるのはやめてほしい」。正論ですな。しかし、日経をはじめとしてマスコミはこのメモを根拠にして世論を強引に、傍若無人に誘導しようとしているんですよ。こんなことを許してはなりません。
第一、これまでに引用したあなたの言葉と矛盾していますね。もし、本当にそう思っているなら日経に渡したメモからその部分を除くのが富田夫人の義務でしょう。あるいは、気がつかずに渡したのなら(随分粗忽な話ですが)、報道後議論が沸き起こった時に報道の訂正を求めるべきでしょう。そうしましたか。富田未亡人?
3・8
靖国問題に対しては「国民一人一人が知識をもつべきだと思う。政治家、学者、遺族、、。国民みんなで考え、何回も討論し、結論が出せれば」。こんな一般論を無思慮な行動をとったために騒動を引き起こしたあなたから聞いても始まらない。この発言の意味は日経が7月20日にスクープとして発表した時に断定した「昭和天皇はA級戦犯合祀に不快感、だから靖国にはいかない」という日経の記事の訂正を富田未亡人、あなたが要求しているものと理解してよろしいか。わかりにくいですね。もしそうなら、はっきりと日経にクレイムすべきです。
4 上坂冬子さんの会見記
諸君10月号 上坂冬子 「富田メモ」 夫人を訪ねて
インタビューの日時はいずれの記事にも示されていないが、上坂氏のものが早いと考えられる。また分量も多い。