民主党はマニフェストを大きく掲げて、国民との約束であるとして、大勝利 し政権をとった。今一度マニフェストに目を通してみた。
財源については多少同情するところもなくはない。ほとんどのものが大きく後退している。
とりわけ気になるのが、穀物については、国内で完全自給を目指すとしている。食料全般の自給率についても、難しい中にあって、わずか28%しかない穀物の自給などは、ちょっと内情を知っている者なら、無理なことはわかっているはずである。
マニフェストにはないが、食料自給率を現在の40%から50%にあげるとしている。
こうした約束を国民と交わすことで、民主党は政権の座についたはずである。ところが、この時点では影すらなかったTPPを突如として参入するなどと言い出した。
菅が一年前に突如として言い出したが、閣内協議もなくいかにも唐突である。多国間協議といっても、実質日米協議である。
無関税システムのTPP参入については、国民の70%が不安に感じている。推進する側のメリットは、輸出産業に競争力をつけると言うだけである。メリットは他に何もない。
もっとも痛手を受けるのが農業である。食料自給率が14%になると、試算されている。それも、願望に過ぎない。田舎が崩壊することのほうがもっと大きい。民主党が掲げていた、食料自給率50%とは明らか委矛盾する政策である。
推進派の主張する農業の再生は、規模拡大と補助金である。機械に頼る無機質で均一な生産形態と、金のばら撒きである。農業の最も基本的な生産性は、考慮だにされない。農業の再生に反する政策である。
TPP参入を模索する民主党は、矛盾する二つの政策をどのように進めようとするのかはわからないが、いずれ破綻することははっきりしている。