EUがわずか1100万人で、GDP2600億ドルの国家・ギリシャに翻弄されている。ユーロが叩かれて、ドル安の中円だけが高騰を続けている。日本と無縁ではない。
そうした中、ギリシャのパパンドレウ首相が、追い詰められて、国民投票 に打って出ると決断した。欧州債務危機への包括対策が、国民に大きな負担をかけることがはっきりしている。それなら、ユーロ圏を離脱するのかと言うのが、国民投票の真意である。
メルケルとサルコジをはじめとする、EU側は大いに狼狽した。連日のデモから、国民はいっせいに反発するのではないかと思ったのであろう。
パパンドレウはこれを突っぱねた。総選挙に出れば敗北するであろう与党が、国民に問うのである。それでもユーロ圏にとどまるかと。
ギリシャ国民の7割はユーロ圏にとどまりたいと願っている。再建策との抱き合わせをどう判断するは見ものである。ウジウジとEU諸国からつつかれるなら、この際はっきりさせたほうが良い。
EUは第6次となる80億ユーロの支援を凍結させた。約一月の間に、ギリシャが自ら判断することになる。留まるも離脱するも、いずれも茨の道であることにには、変わりない。
どうしてこういうことが起きたのであろうか?ギリシャがでたらめ決算と虚偽の報告をしたことは許せないが、通貨だけを統合しても財務関係が異なっていては、これからもこういうことが起きないとも限らない。ユーロの信頼が、一国のために揺らぐことになるのである。
それにしても、日本にはこうしたことで国民投票をするシステムがないのは、民主国家として大きな問題である。自民党にはノーと言ったが、TPPも消費税も普天間基地も国民に問うことはないのである。