COP(気候変動枠組)17が、現在南アフリカのダーバンで開催されている。京都議定書の運用について、先進国と途上国が真正面からぶつかっている。枠組み期間が2012年で切れるためである。
途上国は、先進国だけに削減を求めた京都議定書を触りたくはない。先 進国は、その後急速に伸びてきた途上国にも、削減の負担をすべきと、停滞している経済成長を背景に、これまた譲らない。カナダは脱退してしまった。
そもそも、先進国が温情的に持ちかけた1997年には、途上国はこれほど経済成長をしてくるとは思っていなかった。とりわけ石炭に頼る中国は、世界最大のCO2排出国になっている。アメリカは、就任早々のブッシュはいち早く離脱した。経済成長のほうが大切だと主張したのである。
原発にエネルギーの半分を見込んでいた日本は、福島の事故で90年比25%削減は空手形に終わりそうである。すべての主要国に枠組みを課すべきとする日本の主張は、現在のところ受け入れられそうもない。
途上国にとって、極めて有利な枠組みであるが、EUはとりあえず京都議定書の枠組みを守りながら、7年ほどの移行期間を経て主要国すべてに課する案を出してきている。
1997年当時先進国の排泄するCO2は、60%も占めていたが、アメリカが離脱し先進国が削減し、経済成長が停滞する中、枠踏みを課せられ義務を負う国は26%程度になってしまっている。
4分の3が義務を負うことのない枠組みには意味がない。この中に、GDP世界第1位のアメリカと2位になった中国がいるのであるが、無責任極まりない。現在この2国で42%も占めている。
途上国には、先進国が作った現実と言う理屈があるが、アメリカにはそれもない。こうした国家が、日本などに経済制裁とも思われるTPPなどを振りかざす、横暴さは許されるものではない。
安価なものであれば、地球の裏側からでも、大量の燃料を炊いて持ってくると言うのが、TPPである。明らかにTPPという無関税システムは、温暖化対策に逆行するものである。
アメリカはグローバル経済を自負するなら、率先して温暖化対策に取り組むべきである。このままでは、最短でも7年程度の空白期間が生じる。その間にも、CO2はこれらの国が排出し続けるのである。更に、TPPによってこれらは推進されることになる。