民主党内部で、TPPという国家の将来の在り様を左右する、不条理は協定についての論議がなされている。ほとんど玉虫色の内容であるが、これを与党だけでやって決定するのである。
野党は指をくわえて見ているだけである。国民の声は、2年少々前により多くの議席を獲得した、民主党にすべてが集約されているわけではあるまい。
多数決が民主主義でもない。更に日本には、強力な党議拘束なるものがある。党の決定には異論があっても、少なくとも採決では従わなければならないのである。
今回のTPPについては与野党とも、とりわけ民主党と自民党の中には、それぞれ賛否論者がある。討議拘束が強いため、民主党が割れるなら反対に回ろうとする、自民党の動きもある。これが民主主義という代物なのであろうか?
こうしたことより更に低次元なのが、民主党のマニフェスト破りである。マニフェストが実行されないのには、理由があろだろう。何もかもが実行されるとは、誰も思ってはいないだろう。そのときにはその説明をするべきである。
民主党は積極的にそれらを破ってきた。暫定税率がその筆頭である。何の説明もないまま、続けられている。子ども手当ての犠牲になったのであろう。
何よりも普天間基地は、最低でも県外と主張する民主党に、沖縄の人々は喜んだ。鳩山は意図も簡単に破った。彼は嘘をついて結局は辞任したが、国民に約束したことはどうなったのであろうか?これが民主主義といわれるものであるのか。
国民に約束したダム中止は、決めたはずではなかったのか?いつの間にか復活してきた。埋蔵金はたっぷりあったはずではなかったか?過剰な見込みだったのか?事業仕分けの多くは、結局復活してきた。
議員定数の見直しは、まったく放置されたままである。農家の個別補償は、一部手がついてはいるが全体の見通しはついているとは思えない。国民との約束はどうなった?
民主主義は、国民の声を聞くでもなく、約束事は簡単に放棄する。食料自給率向上と、無関税主義とはまったく対峙するが、この行く先は何処にある。民主主義の原点を見失った迷走が、TPP論議から始まったように見えてならない。