現在人類にとってプリミティブな問題、最も重要な問題は何か。70億に膨れ上がった人口を見ても分かるが、それは人口問題でもあり食糧問題でもあり人権問題でもあり、何よりも環境問題である。
これらの問題はすべて人類が作り上げた、後戻りできない極めて深刻な問題でもある。個々のいくつかの特別な事例を除けば、それらのすべては人類の欲望によって作られた問題である。
国家の名を借りているが、自らが優れていると思っている人種や国家の欲望でもある。国家の欲望は”富”の追求である。富の追求は国境を平気で銃を持って越える。
軍事力の行使は収奪のためである。かつての軍事力は今、複雑なシステムに形を変えているが、本質的に半紀前と変わるものではない。経済活動に身を包んでいるが、資源の収奪や富の収奪や人権の蹂躙は何ら変わらない。
豊富な資本力と高い技術力によって、それらの劣る国家や地域や人種の資源を収奪し、労働力を消耗させるのである。提供する国家や地域には、経済発展という名の空手形を為政者に手渡す。
しかし、残念ながら世界は永続する経済発展を夢見ている。その具体的な形が、自由貿易である。自由というのは強者(多くの場合アメリカのことである)の論理でしかない。自由競争は強いものと競い合うことことではなく、弱いものを叩くことでしかない。
その経済も、21世紀にはいると「金融経済」と呼ばれる、実体経済ではなく資本を投資家が支える投機資金に翻弄された、資本主義社会になった。
国家の通貨は、信用という得体のしれないものによって裏付けられる。通貨を統合したが、財政が国家任せで不均一の信用が生じ、弱い国家は債務がかさむ一方になっしまう。それが今EUに起きている問題である。
目先の経済問題に惑わされいる典型が、TPPである。最も重要な問題を、TPPの影に追いやってしまって、国民にただ困惑を与えているだけである。
今我々は、TPPという名の安ければ誰からでも、どんなとこからでも輸入するという、暴力的なシステムを論議する時間は残されているとは思えない。そして、そうした欲望が、もっとの大切な問題を起こしたことに気付かなければならない。