3年近く前に書いた下記の記事である。まったく同じことを再度書く。今回はより深刻になった現実が目の前にある。無関税システム導入(TPP)が目の前にあるからである。
日本の木材は、1940年ごろに完全に無関税になった。その結果日本の山野は荒れ放題になってしまった。日本の国土の70%は産地である。本来は、木材など十分に自給できる国土のはずである。
木材に自給率は、20年ほど前から20%程度になってしまっている。山には換金性が高く早く育つ、根の浅い杉が大量にそして無原則に植えられている。山崩れは異常気象だけではない。先日の紀伊半島の堰止湖ができた空中映像を見れば、圧倒的に杉ばかりである。
木材の自由化は、日本の国土を荒らすだけではない。人件費の安い開 発国から、大量に買い付けるのである。右の表を見れば解るが、熱帯雨林を荒らす結果になるのである。更には、針葉樹林帯の減少に拍車をかけている。
大量のエネルギーを投じて、遠方から木材を運んでくる。伐採と移動によって更に、地球温暖化を促進しているのである。安ければ良いと言うものではない。
食料(農産物)は、安定した生産に数年かかる。それだけではなく、毎年経験を積み重ねることも重要である。木材はその10倍もかかる。木は孫のために植えると言われる。
やっと植えつけられた杉にしても、成長してしまった今では、伐採する費用など出てこないと言われている。スギ花粉症はその結果である。
自然派を自認する人が、ログハウスを建てている。北欧の針葉樹である。立派なログハウスであるが、ウッドマイレージは日本の木材を使った場合に比べて、約1000倍になる。
地球環境や食糧問題を考えると、木材の無関税は三重にも四重にもやってはならないことであった。
食料ほどの緊急性はないが、途上国の人件費の高騰や政情変化で木材を自給しなければならなくなったときには、対応に50年かかることを忘れてはならない。
ドジョウは、世界情勢など見ることができない。ましてや、環境問題をグローバルに判断できることができない。