TPPはまだ執行されていない経済機構ではあるが、実態は政治機構の問題である。しかも、アメリカが一方的に生き残る道を求めるために作られた、政治的思惑である。
TPPをあたかも、経済問題であるかのように語るのは、推進する対米従属主義者たちのまやかしの論法に過ぎない。多国間協議に見せかけて、実態は貿易量7割のアメリカと2割の日本の二国間交渉である。
二国間交渉であっても、原則無関税は、相互の内情を突き詰めるFTAではない。イラク、アフガン侵攻で国力を失ったアメリカのあがきである。
TPP推進派は単なるアメリカ従属主義者でしかない。超大国アメリカに従属することで経済発展を遂げてきた、過去の妄想を引きずっているに過ぎない。彼らは、TPP慎重派を農業保護者や鎖国主義者とレッテルを貼ることによって、一応の成功を上げている。
TPPの交渉実態は、これまで国内で真剣に論議などされた経緯はない。いきなり賛成か反対かで論議が進む、奇妙なTPP論議である。
それもそのはず、TPPが政治問題であるからである。経済問題なら、きめの細かい話があって良いがそれがない。メリットと言われるものは、輸出産業の競争力が増すと言う程度である。それも、10年間でわずかに3.7兆円プラスになるだけだと言うことである。年間3700億円である。GDPの0.05%でしかない。
制度の規制緩和といわれるが、これもアメリカの制度が日本より優れている前提ではなされている。アメリカのロビストが作り上げた制度が、すべてに日本より優れているとは、とても思えない。
ターゲットになっていると言われるゆうちょも、農業も地域がなんとかつないでいる細い糸である。それらを壊すことによって、効率優先の都会型のシステムにしてしまうのである。
TPPは経済交渉に見せかけた、純粋にアメリカが(実態はオバマが)生き残りをかけた政治的活動なのである。