詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

嵯峨信之『小詩無辺』(1994)を読む(39)

2020-02-26 15:54:45 | 『嵯峨信之全詩集』を読む

嘘の傘

どこまで行つても一つの言葉にたどりつけない
言葉は人間からはなれたがる

 「一つの言葉」とは何をさすか。
 二行目の「言葉」は「一つの言葉」をさしているか、それとも「すべての言葉」をさしているのか。
 「一つの言葉」にたどりつけないために、「すべての言葉」が人間から離れたがる。「すべての言葉」は「一つの言葉」につながりたいと思っているということだろう。
 そして、それは嵯峨の願いなのだろう。

 「嘘」の反対にある「真実」。
 でも、そうなってしまったとき、その世界が「楽しい」かどうか、私は疑問に思う。






*

詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
オンデマンドで販売しています。100ページ。1500円(送料250円)
『誤読』販売のページ
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私あてにメール(yachisyuso@gmail.com)でも受け付けています。(その場合は多少時間がかかります)

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「軽症者」を無視するな

2020-02-26 13:09:14 | 自民党憲法改正草案を読む
「軽症者」を無視するな
             自民党憲法改正草案を読む/番外315(情報の読み方)

 新型コロナウィルス対策あ、安倍政権が打ち出した。読売新聞2020年02月26日(西部版・14版)の一面に、読売新聞の医療部長が「不安解消へ 情報具体的に」という記事を書いている。感染しても8割は「軽症」で「重症」化するのは2割だと書いたうえで、こうつづけている。番号と括弧内は私が補った。

 ①軽症の段階では、一般のウイルス性の風邪と同じで特効薬はなく、自然に治るのを待つしかない。②一方、重い肺炎を起こした患者は、呼吸管理など高度な治療が必要になる。③医療機関をパンクさせず、重症化する人を見極めて迅速に治療することが多くの人を助けることになる。
 ④今回の(政府の)基本方針では、風邪の症状が軽い場合、医療機関をすぐには受診せず、自宅での療養を原則としている。

 政府の方針を「言い直した」ものだが、非常に疑問に思うのが、
①の「軽症の段階」をどう判断するかである。この記事では何も書いていない。「熱が出ても4日間自宅で様子をみる」というようなことがすでに報道されているが、自宅にいる間に「重症」化していったらどうするのだ。
②はあたりまえのこと。
③は、論理的なようで、論理がうさんくさい。「軽症」の内に診断し、いまは軽症なので自宅で待機し、改善しなかったらもう一度受診するように呼びかけるのが、国民を安心させるのではないだろうか。感染しているかどうかわからないまま、重症化するまで自宅でじっとしていろには無理がある。
 だいたい「医療機関をパンクさせず」ということは、国民が考えることではない。医療を管理している政府が考えることであって、そういう問題を国民に押しつけることは間違っている。
 感染者を「軽症」の内に感染者と判断し、健康管理をすることが、「多くの人を助ける」ことになる。まず感染しているか、していないかを「見極め」ないことには、それにつづく行動がとれない。
 「迅速化」を阻んでいるのは、検査をしようとしない政府の方針に原因がある。

 それを裏付けるような記事が2面に乗っている。「ウイルス検査 保険適用へ 厚労相」という見出しがある。そこで加藤は、こういう説明をしている。

①いまは全額公費でやっているが、保険診療に移すとなると、保険の報酬単価を決めないといけない。②そういった作業を逐次進め、いつでもスタートできるような状況はつくっておきたい。

 私は「保険の報酬単価」の計算方法など知らないが、①そういうものを決めるのに、いったいどれだけ時間がかかるのか。すでに新型コロナウィルスが猛威をふるってから何日もたっているし、多くの人が保険適用を求めているのに、いままでそれを放置してきたのはなぜなのか。さらに②についていえば、「保険の報酬単価」を決めるのに時間が必要というのなら、とりあえずは全額個人に負担させ、単価が決まった段階で「払い戻す」という方法もあるだろう。時間と手間はかかるだろうが、それをしないとさらに時間と手間がかかる医療が必要になる。
           
 社会面には、文科相が

複数の感染者が出た場合、思い切って一つの市、町の学校ごと休みにするのも選択肢に入れてほしい

 と語ったと書いてある。
 これから各都道府県で公立の高校入試がはじまる。「休校」が「市全体」で実施されるとき、入試はどうなるのか。「全市休校」を判断するのは、だれなのか。
 記事中には、文科省が「感染した児童生徒が発熱しながら登校していた場合、速やかに休校」するように求めた通知を全国の教育委員会に出した、とあるが「発熱しないで登校していた場合」はどうなるのか。つまり、学校から帰って来て「発熱」がわかった場合はどうなるのか。また、その学校が「休校」になった場合、同じ学校に通っている中学三年生の受験はどうなるのか。
 いまは「時期的」に、そういうことを考慮し、方針を決めないといけない。
 社会面(第社会面)には「Jリーグ公式戦を延期/巨人オープン戦無観客」というような見出しで、いろいろな対応が紹介されているが、高校入試の対応こそ、早急に決めないといけない。
 この際、思い切って、「3月の高校入試は中止」くらいにしないといけないのではないのか。「4月まで延期(あるいは5月まで延期)」、さらには「今年は中止(全員合格)」くらいの対応をとらないとたいへんなことになる。
 若い人(持病のない人)は重症化しない、などと考えていてはいけない。若い人は若い人だけで接触しているわけではない。家族がいる。家族のなかには高齢者もいれば、持病を抱えた人もいるだろう。
 重症者を増やさないことも大切だが、感染者を増やさないこと、「軽症」の内に感染を封じ込めることが一番大切なのだと思う。
 「軽症者」を早く発見し、「軽症者」のしっかり対応をとる。そうすれば必然的に「重症者」も減るのではないだろうか。「重症者」の背後には多くの「軽症者」がいる。それを隠してはいけない。
 安倍のやっていることは、いつでも、どこでも「隠蔽」だけである。



#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位 
 


*

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