詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

嵯峨信之『小詩無辺』(1994)を読む(40)

2020-02-27 09:34:39 | 『嵯峨信之全詩集』を読む

ピアノ

海の底にはピアノが沈んでいる
深夜
誰もが眠っているとピアノは静かに鳴りはじめる

 「深夜」「眠る」「静か」ということばが固く結びつく。それを「鳴る」という動詞、書かれていない音が破っていく。その衝突のなかに、その連続(接続)と切断の瞬間に詩があるのだが、これは「定型」になってしまっている。
 これをどう乗り越えるか。違った形にするか。あるいは、さらに深めるか。

奏者は
地球創造のとき生まれたひとりのみなし児だという

 「みなし児」ではなく「ひとり」に焦点を当てて読みたい。「みなし児」に重心を置くと、「意味」が強くなりすぎる。





*

詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
オンデマンドで販売しています。100ページ。1500円(送料250円)
『誤読』販売のページ
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私あてにメール(yachisyuso@gmail.com)でも受け付けています。(その場合は多少時間がかかります)
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