詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

嵯峨信之『小詩無辺』(1994)を読む(26)

2020-02-13 10:08:38 | 『嵯峨信之全詩集』を読む
* (生命は)

どんな小さなものでもやさしい影を落としている
つゆ草の青い花を虫籠にいれるときも

 このとき「小さなもの」とは何を指しているか。「つゆ草(青い花)」か。「虫(籠)」か。
 「影」を「光」と読んでみる。「星影」「月影」の「影」のように。
 「落とす」は、静かに自己の存在を語るということだろう。「投げかける」ことで自己主張するのではなく、気づいてくれるなら気づいてほしい。そして「光」としての「影」は、落とした相手に「影」を与える。「影」をもらって(影を背景に)、相手は同時に「光る」ことを覚える。受け止めたものが、静かに形を変えながら動いていく。
 そういういのちの運動の仕方がある。これを「やさしい」と嵯峨は呼んでいる。










*

詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
オンデマンドで販売しています。100ページ。1500円(送料250円)
『誤読』販売のページ
定価の下の「注文して製本する」のボタンを押すと購入の手続きが始まります。
私あてにメール(yachisyuso@gmail.com)でも受け付けています。(その場合は多少時間がかかります)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする