福岡発 コリアフリークなBlog

韓国や韓国語に関するオタクの雑学メモ。韓国映画はネタバレあり。 Since 2005/9.14

韓国映画とスパイねつ造

2019年07月22日 |  〇映画・映画音楽

자백  「自白」 2016年 〇〇〇〇-
(754)



2016年に公開された社会派のドキュメンタリー映画。


△取り調べで虚偽の自白を強要されるも、人権派弁護士らの助力で無罪を勝ち取った脱北者(映画より)

脱北者らを標的にした保守政権のスパイねつ造事件と在日韓国人
留学生らを標的にした1970年代のスパイねつ造事件を対比させ
ながら、保守/軍事政権と情報機関、検察、裁判所、さらには
大手メディアの結託による権力犯罪を、鋭く批判した作品。


△韓国留学時に各種拷問によりスパイにでっち上げられ、精神を病んだ在日韓国人被害者(映画より)

この作品を見ると、現在の国家情報院が、過去のKCIAの悪しき
体質をそのまま引き継いでいることが、よくわかる。


△再審請求には同意したが、韓国には行きたくないと語る犠牲者(映画より)

現ムン政権(人権派政権)の5年間で、はたして情報機関が、
世論操作や政権維持を目的とする各種の犯罪的政治工作から、
完全に手を切ることができるのだろうか?

「ヲタク」としても、注視していきたいものである。


(終わり)


韓国とディープスロート

2019年07月22日 |  〇映画・映画音楽

저수지 게임  「貯水池ゲーム」 2017年 〇〇〇--
(753)



2017年に公開された社会派ドキュメンタリー。

この映画は、韓国の某元大統領周辺の不正疑惑について、国内外を
飛び回りながら執念深く調査報道を続ける、1人の雑誌記者の活動を
記録している。

この作品の中心テーマは、某公的金融機関の海外投資にまつわる
疑惑で、大筋は以下の通り。

当時の現職大統領の親戚が、某公的金融機関の海外投資チームに
カナダのコリアタウンで不動産開発を計画中の韓国系デベロッパーを
紹介する。すでに金融機関の社長には、現職大統領の高校の後輩が
新たに就任していた。デベロッパーは日本円で約20億円にのぼる
融資金を、何の担保もなく、金融機関から引き出すことに成功した。

しかし、その巨額のお金は、いつになっても開発事業に使われる
ことはなく、いつの間にかカナダの銀行からケイマン諸島の銀行に
流れ、債務者とともに消えてしまった。

金融機関は自らが融資した巨額の資金が消えてしまったにも
関わらず、何らの法的措置も取らなかった。


△関係者の死体が浮いていた貯水池(映画より)

融資に関わった中間管理職の1人の遺体が貯水池で発見されるが、
警察は自殺として処理した。

後日、検察は、その金融機関が北朝鮮から大規模なサイバー攻撃を
受け、電算網が麻痺したと発表。ここで、金融機関が持っていな
ければならない、一部のデータも消える。

デベロッパーを金融機関に紹介した大統領の親戚は、現在、移民し、
居場所もわからない。

結局、記者は、この権力型詐欺事件に関し、複数のディープスロート
(内部告発者)から得た匿名の情報や取材事実に基づき、元大統領
周辺の疑惑を白日の下にさらすことには成功したが、犯罪を証明する
だけの証拠を確保することはできなかった。

「事実は小説よりも奇なり」とは、よく言ったものである。

なお、元大統領の名前や金融機関の名称が知りたい人には、ぜひ、
韓国語を学習し、自分で調べてほしいものである。




(終わり)